商君書 / 法家
商君書(法家)の名句を、現代語訳と実践の解説つきで。全200句。
秦の孝公に仕えて変法を断行し、天下統一の土台を築いた商鞅(公孫鞅)の名を冠する、法家の代表的な書です。現存する目録は二十六篇ですが、第十六「刑約」と第二十一「御盜」は篇そのものが失われ、本文が残るのは二十四篇。開巻第一篇からすでに孝公の諡号が使われており、商鞅自身の筆ではなく、法家の徒がその遺論を編んだ書と見るのが定説です。まず断っておくべきことがあります。この書は礼楽・詩書・孝悌・誠信・仁義を「六蝨」——しらみ——と呼び、「民弱ければ国強し、故に道有るの国は務め民を弱くするに在り」と正面から述べます。情報を遮断し、移住を禁じ、連座と密告によって統治する。師導ではこれらを言い換えず、そのまま収めました。何を敵とみなした思想かを知らずに、使える部分だけを抜き出すことはできないからです。その一方で、組織を仕組みで動かすという発想をこれほど徹底して言語化した書は他にありません。「法を以て法を去る」——制度の目的は制度を要らなくすること。「国に皆な法有り、而して法をして必ず行わしむるの法無し」——規則はあるが実行させる仕組みが無い、という診断。「一兔走れば百人これを逐う」——帰属が定まらぬところにだけ争いは起きる。そして最終篇の結論は、賢い人にしか分からないものを制度にするな、でした。師導では現存二十四篇の全文から二百の章句を収め、底本二万四千字の百パーセントを覆っています。