商君書 / 去彊
國有禮有樂、有詩有書、有善有修、有孝有弟、有廉有辯──國有十者、上無使戰、必削至亡、國無十者、上有使戰、必興至王。
新字:国有礼有楽、有詩有書、有善有修、有孝有弟、有廉有弁──国有十者、上無使戦、必削至亡、国無十者、上有使戦、必興至王。
書き下し
國に禮有り樂有り、詩有り書有り、善有り修有り、孝有り弟有り、廉有り辯有り——國に十者有らば、上に戰わしむる無く、必ず削られて亡ぶに至る。國に十者無くんば、上に戰わしむる有り、必ず興りて王たるに至る。
現代語訳
国に礼があり楽があり、詩があり書があり、善があり修養があり、孝があり悌があり、廉潔があり弁舌がある——国にこの十のものがあれば、上は民を戦わせることができず、必ず領土を削られて滅びに至る。国にこの十がなければ、上は民を戦わせることができ、必ず興って王者となる。
解説
農戦篇にも同趣旨の一段があったが、こちらは孝と悌まで名指しで挙げる。親を敬い兄に従う徳が、国を弱くするものとして数え上げられている。ここに一切の緩和はない。家族への情も、学問も、廉潔も、すべては人を戦場に向かわせない力として敵視される。この書がどれほど徹底した思想であるかは、この一段を薄めずに読むほかない。実際に秦はこの路線で天下を統一し、そしてわずか十五年で崩れた。強さのために何を捨てるかという問いに、極限まで振り切った答えがここにある。読む側は、この答えを採るためではなく、自分がどこで線を引くかを知るために読むことになる。
この章句が説くこと
国に十者有らば孝弟も敵とみなす秦の統一と崩壊線を引く
関連する章句
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『商君書』農戦詩・書・禮・樂・善・修・仁・廉・辯・慧、國に十者有らば、上に守戰せしむる無し。國、十者を以て治まらば、敵至れば必ず削られ、至らざれば必ず貧し。國、この十者を去らば、敵は敢えて至らず、至ると雖も必ず卻き、兵を興して伐たば必ず取り、兵を按じて伐たざれば必ず富む。國、力を好む者は「難きを以て攻む」と曰い、難きを以て攻むる者は必ず興る。辯を好む者は「易きを以て攻む」と曰い、易きを以て攻むる者は必ず危うし。故に聖人明君なる者は、能くその萬物を盡くすに非ず、萬物の要を知るなり。故にその國を治むるや、要を察するのみ。
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『商君書』去彊國、善民を以て姦民を治むる者は、必ず亂れて削らるるに至る。國、姦民を以て善民を治むる者は、必ず治まりて彊きに至る。國、詩書禮樂孝弟善修を用いて治むれば、敵至れば必ず國を削られ、至らざれば必ず國を貧しくす。八者を用いて治めざれば、敵は敢えて至らず、至ると雖も必ず卻く。兵を興して伐たば必ず取り、取らば必ず能くこれを有つ。兵を按じて攻めざれば必ず富む。國力を好むを「難きを以て攻む」と曰い、國言を好むを「易きを以て攻む」と曰う。國、難きを以て攻むる者は、一を起こして十を得、易きを以て攻むる者は、十を出して百を亡う。
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『商君書』去彊彊を以て弱を去る者は弱く、弱を以て彊を去る者は彊し。國善を為せば、姦必ず多し。國富みて貧なるは、治まりて重富と曰う、重富なる者は彊し。國貧しくして富むは、治まりて重貧と曰う、重貧なる者は弱し。兵、敵の敢えて行わざる所を行えば彊く、事、敵の為すを羞ずる所を興せば利あり。主は多變を貴び、國は少變を貴ぶ。國、物少なければ削られ、國、物多ければ彊し。千乘の國にして、千物を守る者は削らる。戰事に兵用いらるるを彊と曰う。戰亂れ兵息みて國は削らる。
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『商君書』去彊彊國は十三の數を知る。境內の倉口の數、壯男壯女の數、老弱の數、官士の數、言說を以て食を取る者の數、利民の數、馬牛芻藁の數なり。國を彊くせんと欲して、國の十三數を知らざれば、地利ありと雖も、民眾しと雖も、國は愈々弱くして削らるるに至る。國に怨民無きを彊國と曰う。兵を興して伐たば、則ち武爵武任にして必ず勝ち、兵を按じて農せば、粟爵粟任にして則ち國は富む。兵起こして敵に勝ち、兵を按じて國富む者は、王たり。
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『商君書』画策彊國の民は、父はその子に遺り、兄はその弟に遺り、妻はその夫に遺りて、皆な曰く、「得ずんば、返る無かれ」と。又た曰く、「法を失い令を離るれば、若し死せば我れも死す、鄉これを治めん」と。行間に逃るる所無く、遷徙するに入る所無し。行間の治は、連ぬるに五を以てし、これを辨つに章を以てし、これを束ぬるに令を以てす。拙なれば處る所無く、罷なれば生くる所無し。是を以て三軍の眾、令に從うこと流るるが如く、死して踵を旋らさず。
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『商君書』去彊國、壹を作すこと一歲なれば、十歲にして彊く、壹を作すこと十歲なれば、百歲にして彊く、壹を作すこと百歲なれば、千歲にして彊し。千歲彊き者は王たり。威は一を以て十を取り、聲を以て實を取る。故に能く威を為す者は王たり。生かすこと能くして殺すこと能わざるを「自ら攻むるの國」と曰い、必ず削らる。生かすこと能く殺すこと能きを「敵を攻むるの國」と曰い、必ず強し。故に官を攻め、力を攻め、敵を攻む。國その二を用いてその一を舍つれば必ず強く、三者を用いしむれば、威ありて必ず王たり。