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商君書 / 弱民

境內之民、無辟淫之心、游處之士、迫於戰陣、萬民疾於耕農、有以知其然也。楚國之民、齊疾而均、速若飄風、宛鉅鐵鉇、利若蜂蠆、脅蛟犀兕、堅若金石。江漢以為池、汝潁以為限、隱以鄧林、緣以方城。秦師至鄢郢、舉若振槁、唐蔑死於垂沙、莊蹻發於內、楚分為五、地非不大也、兵非不眾也、甲兵財用非不多也、戰不勝、守不固、此無法之所生也。

新字:境内之民、無辟淫之心、游処之士、迫於戦陣、万民疾於耕農、有以知其然也。楚国之民、斉疾而均、速若飄風、宛鉅鉄鉇、利若蜂蠆、脅蛟犀兕、堅若金石。江漢以為池、汝潁以為限、隠以鄧林、縁以方城。秦師至鄢郢、舉若振槁、唐蔑死於垂沙、荘蹻発於内、楚分為五、地非不大也、兵非不眾也、甲兵財用非不多也、戦不勝、守不固、此無法之所生也。

書き下し

境內の民、辟淫の心無く、游處の士は戰陣に迫られ、萬民は耕農に疾む。以てその然るを知る有るなり。楚國の民は、齊しく疾くして均しく、速きこと飄風の若く、宛の鉅鐵鉇は、利きこと蜂蠆の若く、脅むるに蛟犀兕を以てし、堅きこと金石の若し。江漢を以て池と為し、汝潁を以て限りと為し、隱すに鄧林を以てし、緣るに方城を以てす。秦の師、鄢郢に至るや、舉ぐること槁を振るうが若し。唐蔑は垂沙に死し、莊蹻は內より發し、楚は分かれて五と為る。地は大ならざるに非ざるなり、兵は眾からざるに非ざるなり、甲兵財用は多からざるに非ざるなり。戰えば勝たず、守れば固からず。これ法無きの生ずる所なり。

現代語訳

国内の民によこしまで放縦な心がなく、遊んで暮らす士は戦陣に押し出され、万民は耕作に励む。そうであることを知る手立てがある。楚の民はそろって機敏で均質であり、その速さはつむじ風のようであった。宛の地の巨大な鉄の矛は、蜂やさそりのように鋭く、蛟や犀の革をまとって、金石のように堅かった。長江と漢水を堀とし、汝水と潁水を境とし、鄧の林に身を隠し、方城の長城に沿って構えた。それでも秦の軍が鄢と郢に至ると、その攻略は枯れ葉を振り落とすようであった。唐蔑は垂沙に死に、荘蹻は内側から反乱を起こし、楚は五つに分かれた。土地が大きくなかったわけではない。兵が多くなかったわけでもない。武具も財貨も少なくはなかった。それでも戦えば勝てず、守っても固くない。これは法がないことから生じたのである。

解説

楚の敗因を分析した、迫力のある一段である。楚には何もかもがあった。広大な土地、多い兵、鋭い武器、天然の要害。それでも秦の一撃で枯れ葉のように崩れ、内側から反乱が起きて五つに分裂した。理由は一つ、法がなかったから——「これ法無きの生ずる所なり」。資源で勝っているのに負ける組織の解剖として、これ以上の記述はない。人も金も設備も他社より優れているのに勝てない会社があるとすれば、足りないのは資源ではなく、それを一つに束ねて動かす仕組みのほうだ、と弱民篇は結ぶ。

この章句が説くこと

楚は分かれて五と為る地は大ならざるに非ずこれ法無きの生ずる所資源で勝って負ける諫言

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