商君書 / 禁使
人主之所以禁使者、賞罰也。賞隨功、罰隨罪、故論功察罪、不可不審也。夫賞高罰下、而上無必知其道也、與無道同也。凡知道者、勢數也。故先王不恃其彊、而恃其勢、不恃其信、而恃其數。今夫飛蓬、遇飄風而行千里、乘風之勢也。探淵者知千仞之深、縣繩之數也。故託其勢者、雖遠必至、守其數者、雖深必得。
新字:人主之所以禁使者、賞罰也。賞随功、罰随罪、故論功察罪、不可不審也。夫賞高罰下、而上無必知其道也、与無道同也。凡知道者、勢数也。故先王不恃其彊、而恃其勢、不恃其信、而恃其数。今夫飛蓬、遇飄風而行千里、乗風之勢也。探淵者知千仞之深、県縄之数也。故託其勢者、雖遠必至、守其数者、雖深必得。
書き下し
人主の禁使する所以の者は、賞罰なり。賞は功に隨い、罰は罪に隨う。故に功を論じ罪を察するは、審らかにせざるべからざるなり。夫れ賞を高くし罰を下すも、上に必ずその道を知る無くんば、道無きと同じきなり。凡そ道を知る者は、勢數なり。故に先王はその彊を恃まずして、その勢を恃み、その信を恃まずして、その數を恃む。今夫れ飛蓬は、飄風に遇いて千里を行くは、風の勢に乘ずればなり。淵を探る者の千仞の深きを知るは、繩を縣くるの數なり。故にその勢に託する者は、遠しと雖も必ず至り、その數を守る者は、深しと雖も必ず得。
現代語訳
君主が禁じたり働かせたりする手立ては、賞と罰である。賞は功に従い、罰は罪に従う。だから功を評定し罪を見きわめることは、慎重にしなければならない。賞を高くし罰を下しても、上にそのやり方を必ず知る手立てがなければ、やり方がないのと同じである。およそやり方を知るというのは、勢いと数のことである。だから先王は自分の強さを頼みにせず勢いを頼みにし、自分の信義を頼みにせず数を頼みにした。飛ぶ蓬がつむじ風に遭って千里を行くのは、風の勢いに乗るからである。淵を探る者が千仞の深さを知るのは、縄を垂らして測るからである。だから勢いに託す者は、遠くても必ず至り、数を守る者は、深くても必ず知ることができる。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『韓非子』外儲説右下第三十五夫れ賞は之を勧むる所以にして、毀存す。罰は之を禁ずる所以にして、誉加はる。民中立して由る所を知らず、
-
『韓非子』初見秦第一賞を言ひて則ち与へず、罰を言ひて則ち行はず、賞罰信ならず、故に士民死せざるなり。
-
『韓非子』主道第五明君の道は、臣陳言して当たらざるを得ず。是の故に明君の賞を行ふや、曖乎として時雨の如く、百姓其の沢を利とす。其の罰を行ふや、畏乎として雷霆の如く、神聖も解くこと能はざるなり。
-
『韓非子』外儲說左下第三十三一。罪を以て誅を受くれば、人上を怨まず、跀危子皐を生かす。功を以て賞を受くれば、臣君を徳とせず、翟璜右契を操りて軒に乗る。襄王知らず、故に昭卯五乗にして屩を履む。上任を過さず、臣能を誣ひざれば、即ち臣将に夫の少室周と為らんとす。二。勢を恃みて信を恃まず、故に東郭牙管仲を議す。術を恃みて信を恃まず、故に渾軒文公を非る。故に有術の主は、賞を信にして以て能を尽くさしめ、罰を必にして以て邪を禁ず、駮行有りと雖も、必ず利する所を得。簡主の陽虎に相たらしむる、哀公の一足を問ふ。三。臣主の理を失へば、則ち文王自ら履きて矜る。朝燕の処を易へざれば、則ち季孫終身荘にして賊に遇ふ。四。禁ずる所を利し、利する所を禁ずれば、神と雖も行はれず。罪する所を誉め、賞する所を毀れば、堯と雖も治まらず。夫れ門を為りて入らしめず、利を委ねて進ましめざるは、乱の産ずる所以なり。斉侯左右を聴かず、魏主誉むる者を聴かずして、明察羣臣を照らせば、則ち鉅も金銭を費さず、孱も璧を用ひず。西門豹復た鄴を治めんことを請ふ、以て之を知るに足る。猶ほ盗嬰児の裘を矜ると跀危子の衣を栄とするがごとし。子綽左右に画く、蟻を去り蠅を駆る。安んぞ桓公の官を索むるを憂ふると宣主の馬を臞するを患ふること無きを得んや。五。臣卑倹を以て行ひと為せば、則ち爵以て賞を観すに足らず。寵光節無ければ、則ち臣下侵偪す。説は苗賁皇の献伯を非り、孔子の晏嬰を議するに在り。故に仲尼管仲と孫叔敖とを論ず。而して出入の容変ずるは、陽虎の言其の臣を見るなり。而して簡主の人臣に応ずるや主術を失ふ。朋党相和し、臣下欲を得れば、則ち人主孤なり。羣臣公に挙げ、下相和せざれば、則ち人主明なり。陽虎将に趙武の賢、解狐の公と為らんとす、而して簡主以て枳棘と為す、国に教ふる所以に非ざるなり。六。公室卑ければ則ち直言を忌み、私行勝てば則ち公功少なし。
-
『韓非子』難一第三十六今赫は僅かに驕侮せざるのみにして、襄子之を賞するは、是れ賞を失うなり。明主は賞を無功に加えず、罰を無罪に加えず。
-
『韓非子』外儲説右下第三十五此れ亦聖人の為に泣く所なり」と。一に曰く、延陵卓子蒼龍と翟文との乗に乗る、前には則ち錯飾有り、後には則ち利錣有り、進めば則ち之を引き、退けば則ち之を筴うつ。馬前に進むを得ず、後に退くを得ず、遂に避けて逸す、因りて下りて刀を抽きて其の脚を刎ぬ。造父之を見て、泣き、終日食はず、因りて天を仰ぎて歎じて曰く、「筴は、之を進むる所以なるに、錯飾前に在り。引は、之を退くる所以なるに、利錣後に在り。今人主其の清潔を以て之を進め、其の左右に適はざるを以て之を退く。其の公正を以て之を誉め、其の聴従せざるを以て之を廃す。民懼れ、中立して由る所を知らず、此れ聖人の為に泣く所なり」と。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る