商君書 / 定分
法令皆副置:一副天子之殿中、為法令為禁室、有鍵鑰為禁而以封之、內藏法令、一副禁室中、封以禁印。有擅發禁室印、及入禁室視禁法令、及剟禁一字以上、罪皆死不赦。一歲受法令以禁令。天子置三法官、殿中置一法官、御史置一法官及吏、丞相置一法官、諸侯郡縣皆各為置一法官及吏、皆比秦一法官。
新字:法令皆副置:一副天子之殿中、為法令為禁室、有鍵鑰為禁而以封之、内蔵法令、一副禁室中、封以禁印。有擅発禁室印、及入禁室視禁法令、及剟禁一字以上、罪皆死不赦。一歳受法令以禁令。天子置三法官、殿中置一法官、御史置一法官及吏、丞相置一法官、諸侯郡県皆各為置一法官及吏、皆比秦一法官。
書き下し
法令は皆な副えて置く。一副は天子の殿中、法令の為に禁室を為り、鍵鑰有りて禁と為してこれを封じ、內に法令を藏む。一副は禁室の中、封ずるに禁印を以てす。擅に禁室の印を發き、及び禁室に入りて禁法令を視、及び禁の一字以上を剟る者有らば、罪は皆な死にして赦さず。一歲、法令を受くるに禁令を以てす。天子は三法官を置く。殿中に一法官を置き、御史に一法官及び吏を置き、丞相に一法官を置く。諸侯・郡縣も皆な各々一法官及び吏を置くと為し、皆な秦の一法官に比す。
現代語訳
法令はすべて副本を置く。一部は天子の宮殿の中に、法令のための禁室を作り、鍵をかけて禁じ、封印して、その中に法令を収める。もう一部は禁室の中に、禁の印で封じて置く。勝手に禁室の印を開け、禁室に入って禁じられた法令を見、あるいは禁の一字でも削る者があれば、罪はみな死罪で赦さない。一年に一度、法令を禁令に照らして受け取る。天子は三人の法官を置く。宮殿の中に一人、御史のもとに一人と属吏を、丞相のもとに一人を置く。諸侯や郡県にも、それぞれ一人の法官と属吏を置き、みな秦の法官に準じさせる。
解説
法令の正本を封印して保管し、副本を置き、改竄には死罪を科す。そして三人の法官を、宮中・御史・丞相という三つの異なる系統に分けて置く。同じ系統に置かないところが要点で、禁使篇の「事合して利異なる」がここで実装されている。何が正しい条文かをめぐる争いを、封印された正本と、系統の異なる三人の管理者によって断ち切る。会社の規程で「どれが最新版か分からない」という状態が起きるのは、正本の管理者が決まっていないからだ。原本をどこに置き、誰が守るか。それを決めていない規程は、いつのまにか複数の版に分かれる。
この章句が説くこと
三法官を置く法令は皆な副えて置く正本と副本系統を分けるガバナンス制度設計
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