商君書 / 兵守
四戰之國、貴守戰、負海之國、貴攻戰。四戰之國、好舉興兵、以距四鄰者、國危。四鄰之國一興事、而己四興軍、故曰國危。四戰之國、不能以萬室之邑舍鉅萬之軍者、其國危。故曰:四戰之國、務在守戰。
新字:四戦之国、貴守戦、負海之国、貴攻戦。四戦之国、好舉興兵、以距四鄰者、国危。四鄰之国一興事、而己四興軍、故曰国危。四戦之国、不能以万室之邑舎鉅万之軍者、其国危。故曰:四戦之国、務在守戦。
書き下し
四戰の國は守戰を貴び、海に負う國は攻戰を貴ぶ。四戰の國、好んで兵を舉げ興して、以て四鄰を距ぐ者は、國危うし。四鄰の國、一たび事を興せば、而して己は四たび軍を興す。故に曰く、國危うし、と。四戰の國、萬室の邑を以て鉅萬の軍を舍すること能わざる者は、その國危うし。故に曰く、四戰の國は、務め守戰に在り、と。
現代語訳
四方から攻められる国は守りの戦いを重んじ、背後を海に守られた国は攻めの戦いを重んじる。四方から攻められる国が、好んで兵を挙げて四方の隣国に当たろうとすれば、国は危うい。四方の隣国が一度事を起こすたびに、自分は四度軍を起こすことになるからだ。だから危ういという。四方から攻められる国が、一万戸の町で数万の軍を収容できないなら、その国は危うい。だから、四方から攻められる国の務めは守りの戦いにある、というのだ。
解説
地形によって取るべき戦略が逆になる、という当たり前だが忘れられがちな原則である。四方に敵がいる国が攻めに出れば、相手が一回動くたびにこちらは四回動くことになり、消耗する。競合が一社しかいない市場と、四方から異業種が入ってくる市場では、同じ戦い方は取れない。「己は四たび軍を興す」——この非対称な消耗が、多正面作戦の本質である。事業を広げるほど正面が増えることを、始める前に数えているかどうか。
この章句が説くこと
四戦の国は守戦を貴ぶ多正面作戦己は四たび軍を興す地形で戦略が変わる勝敗地形
関連する章句
-
孫子・用間篇五間の事は、主必ず之を知る。之を知るは必ず反間に在り、故に反間は厚くせざるべからざるなり。
-
孫子・形篇勝たざるは己に在り、勝つは敵に在り。
-
孫子・形篇是の故に勝兵はまず勝ちて後に戦い、敗兵はまず戦いて後に勝ちを求む。
-
孫子・始計篇凡そ此の五者は、将は聞かざるは莫きも、之を知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。
-
孫子・九変篇孫子曰く、凡そ兵を用うるの法は、将、命を君より受け、軍を合し衆を聚む。圮地には舍せず、衢地には交を合し、絶地には留まらず、囲地には則ち謀り、死地には則ち戦ふ。途に由らざる所有り、軍に撃たざる所有り、城に攻めざる所有り、地に争はざる所有り、君命に受けざる所有り。
-
孫子・地形篇孫子曰く、凡そ地形には通なる者、掛なる者、支なる者、隘なる者、険なる者、遠なる者あり。我も以て往くべく、彼も以て来たるべきを、通と曰う。通形には、先ず高陽に居り、糧道を利にして、以て戦えば則ち利あり。