商君書 / 靳令
六蝨:曰禮樂、曰詩書、曰修善、曰孝弟、曰誠信、曰貞廉、曰仁義、曰非兵、曰羞戰。國有十二者、上無使農戰、必貧至削。十二者成群、此謂君之治不勝其臣、官之治不勝其民、此謂六蝨勝其政也。十二者成樸、必削。
新字:六蝨:曰礼楽、曰詩書、曰修善、曰孝弟、曰誠信、曰貞廉、曰仁義、曰非兵、曰羞戦。国有十二者、上無使農戦、必貧至削。十二者成群、此謂君之治不勝其臣、官之治不勝其民、此謂六蝨勝其政也。十二者成樸、必削。
書き下し
六蝨とは、曰く禮樂、曰く詩書、曰く修善、曰く孝弟、曰く誠信、曰く貞廉、曰く仁義、曰く非兵、曰く羞戰。國に十二者有らば、上に農戰せしむる無く、必ず貧しくして削らるるに至る。十二者、群を成す。これを君の治、その臣に勝たず、官の治、その民に勝たずと謂う。これを六蝨、その政に勝つと謂うなり。十二者、樸を成せば、必ず削らる。
現代語訳
六つの寄生虫とは、礼と楽、詩と書、修養と善行、孝と悌、誠と信、貞節と廉潔、仁と義、戦を否定すること、戦うことを恥じること、である。国にこの十二のものがあれば、上は民に農業も戦いもさせられず、必ず貧しくなって削られるに至る。この十二が群れをなす。これを、君主の統治が臣下に及ばず、役所の統治が民に及ばない、という。これを、六つの寄生虫が政治に勝つ、というのである。この十二が拠りどころを持てば、必ず削られる。
解説
六蝨——しらみと呼んで数え上げられているのは、礼楽・詩書・修養・孝悌・誠信・貞廉・仁義、そして戦いを否定し戦うことを恥じる心である。誠と信、貞と廉までが敵として名指しされる。ここが商君書の最も過激な一節であり、この書が二千年にわたって「読むべきでない書」と呼ばれてきた根拠でもある。師導では言い換えずにそのまま収める。この一段を読まずに商君書の実務的な部分だけを取り出すことは、この思想を理解したことにならないからだ。何を敵とみなしたかを知ってはじめて、この書のどこまでを使えるかが判断できる。
この章句が説くこと
六蝨礼楽詩書修善孝弟誠信貞廉仁義非兵羞戦読むべきでない書と呼ばれた理由
関連する章句
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『商君書』靳令國貧しくして戰を務むれば、毒は敵に輸せられ、六蝨無くして、必ず彊し。國富みて戰わざれば、偷、內に生じ、六蝨有りて、必ず弱し。國、功を以て官を授け爵を予うる、これを盛知を以て謀り、盛勇を以て戰うと謂う。盛勇を以て戰い、盛知を以て謀らば、その國は必ず敵無し。
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『商君書』去彊農・商・官の三者は、國の常官なり。三官なる者に蝨官を生ずる者六あり。曰く歲、曰く食、曰く美、曰く好、曰く志、曰く行。六者に樸有らば必ず削らる。三官の樸は三人、六官の樸は一人なり。
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『商君書』靳令國、功を以て官を授け爵を予うれば、則ち治は省にして言は寡なし。これを法を以て法を去り、言を以て言を去ると謂う。國、六蝨を以て官を授け爵を予うれば、則ち治は煩わしく言は生ず。これを法を以て法を致し、言を以て言を致すと謂う。則ち君は說言に務め、官は治邪に亂る。邪臣は志を得る有り、功有る者は日に退く。これを守を失うと謂う。十を守る者は亂れ、壹を守る者は治まる。法已に定まりて、六蝨を用うるを好む者は亡ぶ。民、畢く農せば、則ち國は富む。六蝨用いられざれば、則ち兵民は畢く競い勸みて主の用と為るを樂しむ。その境內の民、爭いて以て榮と為し、以て辱と為す莫し。その次は賞に勸められ罰に沮まる。その下は、民これを惡み、これを憂え、これを羞ず。容を修めて以て言い、貧を恥じて以て外交し、以て農戰を避け、外交して以て備う。國の危うきなり。饑寒死亡有るも、利祿の故の為に戰わざる、これ亡國の俗なり。
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『商君書』弱民農・商・官の三者は、國の常官なり。農は地を闢き、商は物を致し、官は民を治む。三官に蝨六を生ず。曰く歲、曰く食、曰く美、曰く好、曰く志、曰く行。六者に樸有らば、必ず削らる。農に餘食有らば、則ち歲に薄燕す。商に淫利有らば、美好有りて器を傷る。官設けられて用いられざれば、志行は卒と為る。六蝨、俗を成せば、兵は必ず大いに敗る。法枉がれば治は亂れ、善に任ずれば言多し。治まること眾ければ國は亂れ、言多ければ兵は弱し。法明らかなれば治は省なり、力に任ずれば言は息む。治省なれば國は治まり、言息めば兵は強し。
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『商君書』農戦詩・書・禮・樂・善・修・仁・廉・辯・慧、國に十者有らば、上に守戰せしむる無し。國、十者を以て治まらば、敵至れば必ず削られ、至らざれば必ず貧し。國、この十者を去らば、敵は敢えて至らず、至ると雖も必ず卻き、兵を興して伐たば必ず取り、兵を按じて伐たざれば必ず富む。國、力を好む者は「難きを以て攻む」と曰い、難きを以て攻むる者は必ず興る。辯を好む者は「易きを以て攻む」と曰い、易きを以て攻むる者は必ず危うし。故に聖人明君なる者は、能くその萬物を盡くすに非ず、萬物の要を知るなり。故にその國を治むるや、要を察するのみ。
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『商君書』靳令刑を重くし賞を少なくすれば、上は民を愛し、民は上に死す。賞を重くし刑を輕くすれば、上は民を愛せず、民は上に死せず。利、一空より出づる者は、その國に敵無し。利、二空より出づる者は、國は利を半ばす。利、十空より出づる者は、その國は守らず。刑を重くし大制を明らかにす。明らかならざる者は、六蝨なり。六蝨群を成せば、則ち民は用いられず。是の故に興る國は、罰行わるれば則ち民は親しみ、賞行わるれば則ち民は利あり。罰を行うに、その輕き者を重くすれば、輕き者は至らず、重き者は來らず。これを刑を以て刑を去り、刑去りて事成ると謂う。罪重くして刑輕ければ、刑は至りて事は生ず。これを刑を以て刑を致すと謂い、その國は必ず削らる。