商君書 / 墾令
聲服無通於百縣、則民行作不顧、休居不聽。休居不聽、則氣不淫、行作不顧、則意必壹。意壹而氣不淫、則草必墾矣。
新字:声服無通於百県、則民行作不顧、休居不聴。休居不聴、則気不淫、行作不顧、則意必壱。意壱而気不淫、則草必墾矣。
書き下し
聲服の百縣に通ずる無くんば、則ち民は行き作きて顧みず、休み居りて聽かず。休み居りて聽かざれば、則ち氣は淫せず、行き作きて顧みざれば、則ち意は必ず壹なり。意壹にして氣淫せざれば、則ち草必ず墾かれん。
現代語訳
音楽と華美な衣服が地方の県々に流通しないようにすれば、民は出かけて働くときによそ見をせず、家で休んでいるときも耳を奪われない。休んでいるときに耳を奪われなければ、気持ちが乱れない。働くときによそ見をしなければ、意識は必ず一つに集まる。意識が一つに集まって気持ちが乱れなければ、荒地は必ず開墾される。
解説
娯楽を地方から遮断せよ、という条である。理屈は明快で、注意を奪うものが視界にあるかぎり、人の意識は一点に集まらない。だから対象そのものを環境から消す——意志の力に頼らず環境を変える発想は、今日の集中の技術と同じ構造をしている。ただし商君書がやったのは自分の机の上の整理ではなく、国じゅうから音楽と衣服を取り上げることだった。同じ論理でも、自分に適用すれば習慣の技術になり、他人に適用すれば統制になる。この線の引き方こそが、この書を読むときの試金石である。
この章句が説くこと
声服百県に通ずる無し意壱にして気淫せず注意を奪うもの環境で解く
関連する章句
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