商君書 / 説民
國以難攻、起一取十、國以易攻、起十亡百。國好力、曰:「以難攻」、國好言、曰:「以易攻」。民易為言、難為用。國法作民之所難、兵用民之所易、而以力攻者、起一得十。國法作民之所易、兵用民之所難、而以言攻者、出十亡百。
新字:国以難攻、起一取十、国以易攻、起十亡百。国好力、曰:「以難攻」、国好言、曰:「以易攻」。民易為言、難為用。国法作民之所難、兵用民之所易、而以力攻者、起一得十。国法作民之所易、兵用民之所難、而以言攻者、出十亡百。
書き下し
國、難きを以て攻むれば、一を起こして十を取り、國、易きを以て攻むれば、十を起こして百を亡う。國、力を好むを「難きを以て攻む」と曰い、國、言を好むを「易きを以て攻む」と曰う。民は言を為すに易く、用を為すに難し。國法、民の難しとする所を作し、兵、民の易しとする所を用い、而して力を以て攻むる者は、一を起こして十を得。國法、民の易しとする所を作し、兵、民の難しとする所を用い、而して言を以て攻むる者は、十を出して百を亡う。
現代語訳
国が難しいほうで攻めれば、一を投じて十を得る。国がたやすいほうで攻めれば、十を投じて百を失う。国が実力を尊ぶことを「難きを以て攻める」といい、国が弁舌を好むことを「易きを以て攻める」という。民にとって、言葉を並べるのはたやすく、実際に役に立つのは難しい。国の法が民にとって難しいこと(実務)を課し、軍が民にとってたやすいこと(気力)を用い、実力で攻めれば、一を投じて十を得る。国の法が民にとってたやすいこと(言葉)を課し、軍が民にとって難しいことを用い、弁舌で攻めれば、十を投じて百を失う。
解説
「民は言を為すに易く、用を為すに難し」——人にとって、語ることは簡単で、役に立つことは難しい。だからこそ制度は難しいほうを要求せよ、というのがこの一段の骨子である。難しいほうを課す組織は投資効率が十倍になり、たやすいほうを課す組織は十倍損をする、と数字で言い切る。研修や報告書のように「やった感」が出やすいものに時間を配ると、その組織はたやすいほうへ流れる。制度が何を要求しているかを見れば、その組織がどちらの側にいるかがわかる。
この章句が説くこと
難きを以て攻む言を為すに易く用を為すに難し一を起こして十を取る制度が要求するもの
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