商君書 / 画策
昔之能制天下者、必先制其民者也、能勝彊敵者、必先勝其民者也。故勝民之本在制民、若冶於金、陶於土也。本不堅、則民如飛鳥走獸、其孰能制之?民本、法也。故善治者、塞民以法、而名地作矣。名尊地廣以至於王者、何故?戰勝者也。名卑地削以至於亡者、何故?戰罷者也。
新字:昔之能制天下者、必先制其民者也、能勝彊敵者、必先勝其民者也。故勝民之本在制民、若冶於金、陶於土也。本不堅、則民如飛鳥走獣、其孰能制之?民本、法也。故善治者、塞民以法、而名地作矣。名尊地広以至於王者、何故?戦勝者也。名卑地削以至於亡者、何故?戦罷者也。
書き下し
昔の能く天下を制する者は、必ず先ずその民を制する者なり。能く彊敵に勝つ者は、必ず先ずその民に勝つ者なり。故に民に勝つの本は民を制するに在り、金を冶り、土に陶するが若きなり。本堅からざれば、則ち民は飛鳥走獸の如し。それ孰か能くこれを制せん。民の本は、法なり。故に善く治むる者は、民を塞ぐに法を以てして、名地は作る。名尊く地廣くして以て王たるに至るは、何の故ぞ。戰い勝てばなり。名卑しく地削られて以て亡ぶに至るは、何の故ぞ。戰い罷るればなり。
現代語訳
昔、天下を制することができた者は、必ずまず自国の民を制した者である。強敵に勝つことができた者は、必ずまず自国の民に勝った者である。だから民に勝つ根本は民を制することにあり、それは金属を鋳るのと、土を焼いて器を作るのと同じである。素地が固まっていなければ、民は飛ぶ鳥や走る獣のようなもので、誰にも制することはできない。民の素地とは、法である。だからよく治める者は、法によって民を型に入れ、そこから名声も領土も生まれる。名声が高く領土が広がって王者に至るのはなぜか。戦いに勝つからである。名声が低く領土が削られて滅びに至るのはなぜか。戦いに疲れるからである。
解説
人を金属や粘土にたとえ、法という型に入れて成形する——商君書の人間観が、もっとも露骨に出た比喩である。ここに人格への敬意はない。ただし論の骨格は明快で、外の敵に勝つ前にまず内側を制する、という順序を説く。「彊敵に勝つ者は、必ず先ずその民に勝つ者なり」。競合と戦う前に、自社の内側が同じ方向を向いているか。多くの負けは、外で負ける前に内側で決まっている。人を型に入れるという発想は採れないが、順序についての指摘は動かない。
この章句が説くこと
民を制するは金を冶るが若し先ずその民に勝つ民の本は法なり内が先
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