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商君書 / 説民

塞私道以窮其志、啟一門以致其欲、使民必先其所惡、然後致其所欲、故力多。力多而不用則志窮、志窮則有私、有私則有弱。故能生力、不能殺力、曰:「自攻之國」、必削。故曰王者國不蓄力、家不積粟。國不蓄力、下用也、家不積粟、上藏也。

新字:塞私道以窮其志、啟一門以致其欲、使民必先其所悪、然後致其所欲、故力多。力多而不用則志窮、志窮則有私、有私則有弱。故能生力、不能殺力、曰:「自攻之国」、必削。故曰王者国不蓄力、家不積粟。国不蓄力、下用也、家不積粟、上蔵也。

書き下し

私道を塞ぎて以てその志を窮め、一門を啓きて以てその欲を致し、民をして必ずその惡む所を先にし、然る後にその欲する所を致さしむ。故に力多し。力多くして用いざれば則ち志は窮まり、志窮まれば則ち私有り、私有れば則ち弱有り。故に能く力を生じて、力を殺すこと能わざるを「自ら攻むるの國」と曰う、必ず削らる。故に曰く、王者は國に力を蓄えず、家に粟を積まず、と。國に力を蓄えざるは、下これを用うればなり、家に粟を積まざるは、上これを藏むればなり。

現代語訳

私的な抜け道を塞いでその志を行き止まりにし、ただ一つの門だけを開いてそこから欲を叶えさせ、民が必ず自分の嫌なことを先に済ませ、そのうえで欲しいものを得るようにさせる。だから力が大きくなる。力が大きいのに使わなければ、志は行き止まりになる。志が行き止まりになれば私心が生まれ、私心が生まれれば弱さが生まれる。だから、力を生み出すことはできても、その力を使い切ることができない国を「自分自身を攻めている国」といい、必ず削られる。だからこう言う。王者の国は国に力を蓄えず、家に穀物を積まない、と。国に力を蓄えないのは、下の者がそれを使っているからであり、家に穀物を積まないのは、上がそれを蓄えているからである。

解説

「私道を塞ぎ、一門を啓く」——抜け道を全部塞ぎ、正規の門を一つだけ開ける。そこを通れば望みは叶うが、その前に必ず嫌なことをやらせる。人の動機を設計するときの型として、これほど明快な定式はない。そしてその後が鋭い。力を蓄えたのに使わなければ、行き場を失った力は私心に変わり、それが弱さになる。頑張っても発揮する場のない社員が、やがて社内の駆け引きに向かうのと同じ構造である。力は使うために生む。使う予定のない力を溜めることは、強さではなく弱さの準備だ、と言っている。

この章句が説くこと

私道を塞ぎ一門を啓く力を殺すこと能わず志窮まれば私有り力の行き場

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