商君書 / 去彊
農、商、官三者、國之常官也。三官者生蝨官者六:曰歲、曰食、曰美、曰好、曰志、曰行、六者有樸必削。三官之樸三人、六官之樸一人。
新字:農、商、官三者、国之常官也。三官者生蝨官者六:曰歳、曰食、曰美、曰好、曰志、曰行、六者有樸必削。三官之樸三人、六官之樸一人。
書き下し
農・商・官の三者は、國の常官なり。三官なる者に蝨官を生ずる者六あり。曰く歲、曰く食、曰く美、曰く好、曰く志、曰く行。六者に樸有らば必ず削らる。三官の樸は三人、六官の樸は一人なり。
現代語訳
農民・商人・役人の三つは、国に常にある役どころである。この三つの役どころから、六つの寄生虫のような役どころが生まれる。すなわち、豊作をあてにする心、美食、着飾ること、遊興、野心、体裁である。この六つに拠りどころがあれば、国は必ず削られる。三つの役どころの拠りどころは三種の人にあり、六つの寄生虫の拠りどころは一人の人間の中にある。
解説
「蝨官」——しらみのような役どころ、という強烈な造語である。農・商・官という正規の役割から、六つの寄生的な習性が派生してくると言う。豊作頼み、美食、着飾り、遊興、野心、体裁。おもしろいのは最後の一行で、正規の三つは三種類の人に分かれて存在するが、六つの寄生的習性は一人の人間の中に同居する、と指摘するところだ。組織の無駄は、どこかの部署に固まっているのではなく、一人ひとりの中に少しずつ入っている。誰かを切れば済む話ではない、という読み方ができる。
この章句が説くこと
蝨官六者三官無駄は一人の中に同居する
関連する章句
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『商君書』弱民農・商・官の三者は、國の常官なり。農は地を闢き、商は物を致し、官は民を治む。三官に蝨六を生ず。曰く歲、曰く食、曰く美、曰く好、曰く志、曰く行。六者に樸有らば、必ず削らる。農に餘食有らば、則ち歲に薄燕す。商に淫利有らば、美好有りて器を傷る。官設けられて用いられざれば、志行は卒と為る。六蝨、俗を成せば、兵は必ず大いに敗る。法枉がれば治は亂れ、善に任ずれば言多し。治まること眾ければ國は亂れ、言多ければ兵は弱し。法明らかなれば治は省なり、力に任ずれば言は息む。治省なれば國は治まり、言息めば兵は強し。
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『商君書』靳令國、功を以て官を授け爵を予うれば、則ち治は省にして言は寡なし。これを法を以て法を去り、言を以て言を去ると謂う。國、六蝨を以て官を授け爵を予うれば、則ち治は煩わしく言は生ず。これを法を以て法を致し、言を以て言を致すと謂う。則ち君は說言に務め、官は治邪に亂る。邪臣は志を得る有り、功有る者は日に退く。これを守を失うと謂う。十を守る者は亂れ、壹を守る者は治まる。法已に定まりて、六蝨を用うるを好む者は亡ぶ。民、畢く農せば、則ち國は富む。六蝨用いられざれば、則ち兵民は畢く競い勸みて主の用と為るを樂しむ。その境內の民、爭いて以て榮と為し、以て辱と為す莫し。その次は賞に勸められ罰に沮まる。その下は、民これを惡み、これを憂え、これを羞ず。容を修めて以て言い、貧を恥じて以て外交し、以て農戰を避け、外交して以て備う。國の危うきなり。饑寒死亡有るも、利祿の故の為に戰わざる、これ亡國の俗なり。
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『商君書』去彊法を以て法を去る者は強く、法を以て法を致す者は削らる。常官の法去らば則ち治まる。大國を治むるは小、小國を治むるは大。これを強くすれば重ねて削られ、これを弱くすれば重ねて強し。夫れ彊を以て弱を攻むる者は亡び、弱を以て彊を攻むる者は王たり。國彊くして戰わざれば、毒は內に輸せられ、禮樂蝨官生じて、必ず削らる。國遂に戰わば、毒は敵國に輸せられ、禮樂蝨官無くして、必ず彊し。勞を舉げ功に任ずるを彊と曰う、蝨官生ずれば必ず削らる。農少なく商多ければ、貴人は貧しく、商も貧しく、農も貧しく、三官貧しくして必ず削らる。
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『商君書』靳令六蝨とは、曰く禮樂、曰く詩書、曰く修善、曰く孝弟、曰く誠信、曰く貞廉、曰く仁義、曰く非兵、曰く羞戰。國に十二者有らば、上に農戰せしむる無く、必ず貧しくして削らるるに至る。十二者、群を成す。これを君の治、その臣に勝たず、官の治、その民に勝たずと謂う。これを六蝨、その政に勝つと謂うなり。十二者、樸を成せば、必ず削らる。
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『商君書』靳令國貧しくして戰を務むれば、毒は敵に輸せられ、六蝨無くして、必ず彊し。國富みて戰わざれば、偷、內に生じ、六蝨有りて、必ず弱し。國、功を以て官を授け爵を予うる、これを盛知を以て謀り、盛勇を以て戰うと謂う。盛勇を以て戰い、盛知を以て謀らば、その國は必ず敵無し。
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『商君書』去彊彊を以て弱を去る者は弱く、弱を以て彊を去る者は彊し。國善を為せば、姦必ず多し。國富みて貧なるは、治まりて重富と曰う、重富なる者は彊し。國貧しくして富むは、治まりて重貧と曰う、重貧なる者は弱し。兵、敵の敢えて行わざる所を行えば彊く、事、敵の為すを羞ずる所を興せば利あり。主は多變を貴び、國は少變を貴ぶ。國、物少なければ削られ、國、物多ければ彊し。千乘の國にして、千物を守る者は削らる。戰事に兵用いらるるを彊と曰う。戰亂れ兵息みて國は削らる。