商君書 / 農戦
善為國者、官法明、故不任知慮、上作壹、故民不偷淫、則國力搏。國力搏者彊、國好言談者削。故曰:農戰之民千人、而有詩書辯慧者一人焉、千人者皆怠於農戰矣。農戰之民百人、而有技藝者一人焉、百人者皆怠於農戰矣。國待農戰而安、主待農戰而尊。夫民之不農戰也、上好言而官失常也。常官則國治、壹務則國富、國富而治、王之道也。故曰:王道作、外身作壹而已矣。
新字:善為国者、官法明、故不任知慮、上作壱、故民不偷淫、則国力搏。国力搏者彊、国好言談者削。故曰:農戦之民千人、而有詩書弁慧者一人焉、千人者皆怠於農戦矣。農戦之民百人、而有技芸者一人焉、百人者皆怠於農戦矣。国待農戦而安、主待農戦而尊。夫民之不農戦也、上好言而官失常也。常官則国治、壱務則国富、国富而治、王之道也。故曰:王道作、外身作壱而已矣。
書き下し
善く國を為むる者は、官法明らかなり、故に知慮に任ぜず。上壹を作す、故に民は偷淫せず、則ち國力は搏まる。國力搏まる者は彊く、國言談を好む者は削らる。故に曰く、農戰の民千人にして、詩書辯慧なる者一人焉に有らば、千人の者は皆な農戰に怠らん。農戰の民百人にして、技藝なる者一人焉に有らば、百人の者は皆な農戰に怠らん。國は農戰を待ちて安く、主は農戰を待ちて尊し。夫れ民の農戰せざるは、上、言を好みて官の常を失えばなり。官を常にすれば則ち國は治まり、務めを壹にすれば則ち國は富む。國富みて治まるは、王の道なり。故に曰く、王道の作るは、身を外にして壹を作すのみ、と。
現代語訳
うまく国を治める者は、官の法が明確なので、個人の知恵や判断に頼らない。上が一つに絞るので、民はずるをせず乱れず、国力は一点に集まる。国力が集まる国は強く、議論を好む国は削り取られる。だからこう言う。農業と戦いに従事する民が千人いて、その中に詩書に通じ弁の立つ者が一人いれば、千人ともが農業と戦いを怠るようになる。農業と戦いに従事する民が百人いて、その中に技芸を持つ者が一人いれば、百人ともが怠るようになる、と。国は農業と戦いによって安泰であり、君主はそれによって尊い。民が農業と戦いをしないのは、上が弁舌を好んで、官職の基準を一定に保てないからである。官職の基準を一定にすれば国は治まり、務めを一つに絞れば国は富む。国が富んで治まるのが、王者の道である。だから、王者の道が成るのは、自分を後回しにして一つに絞ることに尽きる、と言うのだ。
解説
この章句が説くこと
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『商君書』農戦善く國を為むる者は、その民を教うるや、皆な壹空より官爵を得しむ。是の故に農戰を以てせざれば、則ち官爵無し。國言を去れば則ち民は樸、民樸なれば則ち淫せず。民、上の利の壹空より出づるを見れば、則ち壹を作す、壹を作せば則ち民は偷まず。民偷まず淫せざれば則ち力多く、力多ければ則ち國は彊し。今境內の民、皆な曰く、「農戰は避くべくして、官爵は得べきなり」と。是の故に豪傑は皆な業を變じ、務めて詩書を學び、外權に隨從す。上は以て顯を得べく、下は以て官爵を得べし。要靡は商賈に事え、技藝を為す。皆な以て農戰を避く。具に備わるは、國の危うきなり。民これを以て教えと為す者は、その國必ず削らる。
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『商君書』農戦故に曰く、百人農して一人居る者は王たり、十人農して一人居る者は強し、半ば農し半ば居る者は危うし、と。故に國を治むる者は民の農せんことを欲するなり。國農せざれば、則ち諸侯と權を爭うも自ら持すること能わざるなり、則ち眾力足らざればなり。故に諸侯はその弱きに撓り、その衰うるに乘じ、土地は侵削されて振わざれば、則ち及ぶ無きのみ。聖人は國を治むるの要を知る、故に民をして心を農に歸せしむ。心を農に歸すれば、則ち民は樸にして正すべきなり。紛紛たれば、則ち使い易からず、信なれば、以て守戰すべきなり。壹なれば、則ち軸少なくして居るを重んず、壹なれば、則ち賞罰を以て進むべきなり、壹なれば、則ち以て外に用うべきなり。
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『商君書』農戦夫れ民の上に親しみ制に死するは、その旦暮に農に從事するを以てなり。夫れ民の用うべからざるは、言談游士の君に事えて以て身を尊くすべきを見、商賈の以て家を富ますべきを見、技藝の以て口を餬するに足るを見ればなり。民この三者の便にして且つ利なるを見れば、則ち必ず農を避く。農を避くれば則ち民はその居を輕んず。その居を輕んずれば、則ち必ず上の為に守戰せざるなり。凡そ國を治むる者は、民の散じて搏むべからざるを患う、是を以て聖人は壹を作し、これを摶むるなり。國、壹を作すこと一歲なる者は、十歲にして彊く、壹を作すこと十歲なる者は、百歲にして彊く、壹を作すこと百歲なる者は、千歲にして彊し。千歲彊き者は王たり。君、賞罰を修めて以て壹教を輔く、是を以てその教えに常とする所有りて、政に成る有るなり。
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『商君書』農戦王者は民を治むるの至要を得たり、故に賞賜を待たずして民は上に親しみ、爵祿を待たずして民は事に從い、刑罰を待たずして民は死を致す。國危うく主憂うるに、說く者伍を成すも、安危に益無きなり。夫れ國危うく主憂うる者は、彊敵大國なり。人君、彊敵を服し大國を破ること能わざれば、則ち守備を修め、地形を便にし、民力を摶めて以て外事を待つ。然る後に患いは以て去るべくして、王は致すべきなり。是を以て明君は政を修め壹を作し、無用を去り、畜學事淫の民を止め、これを農に壹にす。然る後に國家は富むべくして、民力は摶むべきなり。
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『商君書』農戦故にその民、農する者寡くして、游食する者眾し。眾ければ則ち農する者は怠り、農する者怠れば則ち土地は荒る。學ぶ者俗を成せば、則ち民は農を舍てて、談說に從事し、高言偽議し、農を舍てて游食し、而して言を以て相い高しとす。故に民、上を離れて臣とせざる者、群を成す。これ國を貧しくし兵を弱くするの教えなり。夫れ國、民を庸うに言を以てすれば、則ち民は農に畜えられず。故に惟だ明君のみ言を好むの以て兵を彊くし土を闢くべからざるを知る。惟だ聖人の國を治むるや、壹を作し、これを農に摶むるのみ。
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『商君書』壹言夫れ聖人の法を立て俗を化して、民をして朝夕農に從事せしむるや、知らざるべからざるなり。夫れ民の事に從いて制に死するは、上の榮名を設け、賞罰の明らかなるを置くを以てなり。辯說私門を用いずして功立つ、故に民の農を喜びて戰を樂しむなり。上の農戰の士を尊びて、辯說技藝の民を下し、游學の人を賤しむを見る、故に民は務めを壹にし、その家は必ず富みて、身は國に顯る。上、公利を開きて私門を塞ぎ、以て民力を致す。私勞は國に顯れず、私門は君に請わず。此くの若くして功名勸めば、則ち上の令は行われて荒草は闢かれ、淫民は止みて姦は萌す無し。國を治むるに能く民力を摶めて民務を壹にする者は彊く、能く本を事として末を禁ずる者は富む。