商君書 / 墾令
令送糧無得取僦、無得反庸、車牛輿重設、必當名。然則往速徠疾、則業不敗農。業不敗農、則草必墾矣。
新字:令送糧無得取僦、無得反庸、車牛輿重設、必当名。然則往速徠疾、則業不敗農。業不敗農、則草必墾矣。
書き下し
糧を送るに僦を取るを得る無く、反庸を得る無く、車牛輿重の設けは、必ず名に當らしむ。然らば則ち往くこと速やかに徠ること疾く、則ち業は農を敗らず。業農を敗らざれば、則ち草必ず墾かれん。
現代語訳
穀物の輸送にあたって運賃を取って請け負うことを認めず、帰り荷で稼ぐことも認めず、車・牛・積荷の装備は必ず登録どおりにさせる。そうすれば行きも帰りも速くなり、輸送という業務が農業を損なわない。輸送が農業を損なわなければ、荒地は必ず開墾される。
解説
輸送を商売にさせない条である。運賃を取れず帰り荷も認められなければ、運ぶ側には道草を食う理由がなくなり、往復が速くなる——という筋書きだ。副業の余地を消すことで本務の速度を上げる、という設計になっている。現代の感覚では稼ぎ口を奪う話だが、構造としては見覚えがあるはずだ。ある業務にインセンティブが二つ乗っていると、人は報酬の大きいほうに最適化する。輸送で運賃も稼げるなら、速く運ぶことより多く運ぶことが目的になる。報酬の設計が二重になっていないかを確かめよ、という条として読める。
この章句が説くこと
糧を送るに僦を取るを得る無し二重の誘因本務と副業必ず名に当らしむ
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