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商君書 / 説民

故行刑、重其輕者、輕者不生、則重者無從至矣。此謂「治之於其治」也。行刑、重其重者、輕其輕者、輕者不止、則重者無從止矣。此謂「治之於其亂」也。故重輕、則刑去事成、國彊、重重而輕輕、則刑至而事生、國削。

新字:故行刑、重其軽者、軽者不生、則重者無従至矣。此謂「治之於其治」也。行刑、重其重者、軽其軽者、軽者不止、則重者無従止矣。此謂「治之於其乱」也。故重軽、則刑去事成、国彊、重重而軽軽、則刑至而事生、国削。

書き下し

故に刑を行うに、その輕き者を重くすれば、輕き者は生ぜず、則ち重き者は從りて至る無し。これを「これをその治まれるに治む」と謂うなり。刑を行うに、その重き者を重くし、その輕き者を輕くすれば、輕き者は止まず、則ち重き者は從りて止む無し。これを「これをその亂れたるに治む」と謂うなり。故に輕きを重くすれば、則ち刑は去りて事は成り、國は彊し。重きを重くし輕きを輕くすれば、則ち刑は至りて事は生じ、國は削らる。

現代語訳

だから刑を行うにあたって、軽い罪を重く罰すれば、軽い罪が起きなくなり、そこから重い罪へ進む者もいなくなる。これを「治まっているうちに治める」という。刑を行うにあたって、重い罪を重く、軽い罪を軽く罰すれば、軽い罪が止まらず、そこから重い罪も止まらなくなる。これを「乱れてから治める」という。だから軽い罪を重く罰すれば、刑罰そのものが不要になって事は成り、国は強い。重い罪を重く軽い罪を軽く罰すれば、刑罰が絶えず必要になって事件が生まれ、国は削られる。

解説

軽い違反を軽く扱うと、そこから重い違反へ進む道が開いたままになる——この因果を、商君書は制度設計の中心に据える。近代の割れ窓理論と同じ発想が、二千三百年前に定式化されていたことになる。実務としては、遅刻や報告漏れのような小さなことを見逃さない運用に対応する。ただし商君書の主張は「軽い罪を重く罰せよ」であって、注意ではなく厳罰である。ここまで行くと組織は萎縮する。取るべきは、軽いうちに必ず反応するという原則までで、反応の強さは別に決めるべきものだろう。

この章句が説くこと

軽きを重くす刑去りて事成る割れ窓小さな違反への反応コンプライアンス規律

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