近思録 / 朱子学
近思録(朱子学)の名句を、現代語訳と実践の解説つきで。全36句。
淳熙二年(一一七五)、朱熹と呂祖謙が周敦頤・程顥・程頤・張載という北宋の四人の言葉から六百二十余条を選び、十四巻に分類して編んだ書です。書名は論語の「切に問いて近く思う」から取られました。朱子学の入門書として東アジアで最も広く読まれ、日本でも江戸期の藩校で基本の教科書とされています。巻の立て方そのものが学びの順序になっています。道体(世界の成り立ち)から始まり、為学・致知・存養・克己と自分を作る巻が続き、家道・出処・治体・制度・政事と外へ広がり、教学・警戒・弁異端を経て、最後の観聖賢で実在の人物の姿を見て終わります。「今日一件を格し、明日また一件を格す。積習すでに多くして、然る後に脱然として自ら貫通する処有り」(格物窮理)、「為学の大益は、自ら気質を変化するを求むるに在り」(変化気質)、「天地の為に心を立て、生民の為に道を立て、去聖の為に絶学を継ぎ、万世の為に太平を開く」(横渠四句)など、朱子学の骨格をなす言葉がここに揃います。師導では維基文庫の全文(全十四巻・約五万二千字)を底本に、十四巻すべてから三十六条を抄録しました。読点は日本式に改め、条の頭の通し番号は外しています。長い条では読み下し文と現代語訳に中略を置いた箇所があります。なお巻十三「弁異端」は仏教を退ける巻で、師導が収める無門関や六祖壇経とは正面からぶつかります。そのぶつかり方も含めて一条を収めました。