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近思録 / 巻11 教学

古之小兒便能敬事。長者與之提攜、則兩手奉長者之手。問之、掩口而對。蓋稍不敬事、便不忠信。故教小兒、且先安詳恭敬。孟子曰:「人不足與適也、政不足與間也。唯大人爲能格君子之非。」非惟君心、至於朋游學者之際、彼雖議論異同、未欲深較。惟整理其心、使歸之正、豈小補哉?

新字:古之小児便能敬事。長者与之提攜、則両手奉長者之手。問之、掩口而対。蓋稍不敬事、便不忠信。故教小児、且先安詳恭敬。孟子曰:「人不足与適也、政不足与間也。唯大人為能格君子之非。」非惟君心、至於朋游学者之際、彼雖議論異同、未欲深較。惟整理其心、使帰之正、豈小補哉?

書き下し

古の小児は便ち能く事を敬す。長者之と提携すれば、則ち両手もて長者の手を奉ず。之に問えば、口を掩いて対う。蓋し稍〻事を敬せざれば、便ち忠信ならず。故に小児を教うるは、且く先ず安詳恭敬ならしむ。孟子曰く、「人は与(とも)に適(とが)むるに足らず、政は与に間(そし)るに足らず。唯だ大人のみ能く君の心の非を格すと為す。」惟だ君の心のみに非ず、朋游学者の際に至るまで、彼議論異同すと雖も、未だ深く較べんと欲せず。惟だ其の心を整理し、之をして正に帰せしむれば、豈に小補ならんや。

現代語訳

(張載の語の続き)昔の子どもは、事に当たって敬むことができた。年長者が手を引いてやると、両手で年長者の手を捧げ持った。問いかけられると、口を覆って答えた。思うに、少しでも事に敬む心がなければ、それは誠実でも信義あるものでもない。だから子どもを教えるには、まず落ち着いて慎み深く、恭しく敬むようにさせる。孟子は言う。「用いられている人物をいちいち咎めるには及ばず、政治をいちいち非難するには及ばない。ただ大人物だけが、君主の心の誤りを正すことができる。」これは君主の心に限らない。友人や学ぶ者どうしの交わりにおいても、相手と議論に食い違いがあっても、深く言い争おうとはしない。ただ相手の心を整えて、正しいところへ帰らせるならば、その益は小さいものではない。

解説

張載の語が二つ続く。一つは子どもの教育で、年長者の手を両手で捧げ持ち、口を覆って答えた古の子どもの作法を挙げ、敬む心がなければ誠実さも生まれないから、まず落ち着いた恭敬を身につけさせよと言う。もう一つは孟子の「大人は君の心の非を格す」を引き、これを友人や学問仲間の関係にまで広げる。個々の意見の違いを細かく言い争うのではなく、相手の心の根本を正しい方へ向けることが大きな助けになるという。議論に勝つことと人を良くすることは別物だという指摘である。会議で部下の案の細部を論破するより、判断の根にある姿勢を整えるほうが、長い目で見て人を育てる。

この章句が説くこと

恭敬忠信格君心教学大人

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