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三略
三略の章句一覧
三略の名句を、現代語訳と実践の解説つきで。全65句。
上略
夫主將之法,務攬英雄之心,賞祿有功,通志于眾,故與眾同好,靡不成與眾同惡,靡不傾。治國安家,得人也,亡國破家,失人也,含
およそ主将たる者のやり方は、すぐれた人材の心をしっかりとつかみ、功績のあった者には賞と俸禄を
軍讖曰:柔能制剛,弱能制強。柔者,德也。剛者,賊也。弱者,人之所助。強者,怨之所攻。柔有所設,剛有所施,弱有所用,強有所
軍讖にはこうある。柔らかさはよく硬さを制し、弱さはよく強さを制する、と。柔らかさとは徳である
端末未見,人莫能知。天地神明;與物推移。變動無常,因敵轉化。不為事先,動而輒隨。故能圖制無疆,扶成天威。康正八極,密定九
始めも終わりも外から見えなければ、誰もその意図を知ることはできない。天地や神々のはたらきのよ
故曰:莫不貪強,鮮能守微,若能守微,乃保其生。聖人存之,以應事機。舒之彌四海,卷之不盈杯,居之不以室宅,守之不以城郭,藏
だからこう言うのだ。強さを求めない者はいないが、微妙なきざしを見守り続けられる者は少ない、と
軍讖曰:能柔能剛,其國彌光。能弱能強,其國彌彰。純柔純弱,其國必削、純剛純強,其國必亡。
軍讖にこうある。柔らかくもなれ、硬くもなれる国は、その光がいよいよ輝きを増す。弱くもなれ、強
夫為國之道,恃賢與民,信賢如腹心,使民如四肢,則策無遣。所適如肢體相隨,骨節相救,天道自然,其巧無間。
およそ国を治める道は、賢者と民とを頼みとするところにある。賢者を信頼することわが腹心のように
軍國之要,察眾心,施百務;危者,安之。懼者,歡之。叛者,還之。冤者,原之:訴者,察之。卑者,貴之。強者,抑之。敵者,殘之
軍と国を治める要は、人々の心を察してさまざまな施策を行うことにある。危うい者は安心させ、恐れ
世能祖祖,鮮能下下,祖祖為親,下下為君。下下者,務耕桑,不奪其時;薄賦斂,不匱其財。罕徭役,不使其勞,則國富而家娛,然後
世の中には先祖を先祖として敬える者はいるが、下の者を下の者として大切にできる者は少ない。先祖
夫所謂士者,英雄也。故曰羅其英雄,則敵國窮。英雄者,國之幹。庶民者,國之本。得其幹,收其本,則政行而無怨。
ここでいう士とは、すぐれた人材のことである。だからこう言うのだ。その英雄を網羅して集めれば、
夫用兵之要,在崇禮而重祿。禮崇則智士至,祿重則義士輕死。故祿賢不愛財,賞功不瑜時,則下力并,敵國削。夫用人之道,尊以爵,
およそ軍を用いる要点は、礼を尊び、俸禄を重んじることにある。礼が篤ければ知恵ある人材が集まり
夫將帥者,必與士卒同滋味,而共安危,敵乃可加:故兵有全勝,敵有全因。昔者,良將之用,有饋簞醪者,使投諸河,與士卒同流而飲
およそ将帥たる者は、必ず兵士と同じ味のものを食べ、安危を共にする。そうして初めて敵に攻めかか
軍讖曰:軍井未達,將不言渴。軍幕未辦,將不言倦。軍灶未炊,將不言飢。冬不服裘,夏不操扇,雨不張蓋,是謂將禮。與之安,與之
軍讖にこうある。陣中の井戸がまだ掘り上がらぬうちは、将は喉が渇いたとは言わない。陣幕がまだ張
軍讖曰:將之所以為威者,號令也。戰之所以全勝者,軍政也。士之所以輕死者,用命也。故將無還令,賞罰必信,如天如地,乃可使人
軍讖にこうある。将が威厳を保てるのは号令があるからである。戦いが完全な勝利となるのは軍の規律
夫統軍持勢者,將也。制勝敗敵者,眾也。故亂將不可使保軍,乘眾不可使伐人。攻城不可拔,圍邑則不廢。二者無功,則士力疲憊,士
軍を統率し勢いを保つのは将である。勝利をつかみ敵を破るのは兵士たちである。だから統率の乱れた
軍讖曰:良將之統軍也,恕己而治人,推惠施恩,士力日新。戰如風發,攻如河決,故其眾可望而不可當,可下而不可勝。以身先人,故
軍讖にこうある。すぐれた将が軍を統率するときは、自分の心に照らして人を思いやりながら治め、恵
軍讖曰:賢者所適,其前無敵。故士可下而不可驕,將可樂而不可憂,謀可深而不可疑。士驕,則下不順。將憂,則內外不相信。謀疑,
軍讖にこうある。賢者が向かうところ、その前に立ちはだかる敵はない。だから士はへりくだらせるべ
軍讖曰:將能清,能靜,能平,能整,能受諫,能聽訟,能納人,能採言,能知國俗,能圖山川,能表險難,能制軍權。故曰:仁賢之智
軍讖にこうある。将たる者は、清廉であり、静かであり、公平であり、整っており、諫言を受け入れ、
軍讖曰;將謀欲密,士眾欲一,攻敵欲疾。將謀密,則姦心閉。士眾一,則軍心結。攻敵疾,則備不及設。軍有此三者,則計不奪。將謀
軍讖にこうある。将の謀は秘密であることが望ましく、兵は心を一つにすることが望ましく、敵を攻め
軍讖曰:慮也,勇也,將之所重。動也,怒也,將之所用。此四者,將之盯誡也。
軍讖にこうある。思慮と勇気は、将が重んじるべきものである。行動と怒りは、将が用いるべきもので
軍讖曰:軍無財,士不來。軍無賞;士不往。
軍讖にこうある。軍に財がなければ、人は集まってこない。軍に賞がなければ、人は進んで戦いに向か
軍讖曰:香餌之下,必有死魚。重賞之下,必有勇夫。故禮者,士之所歸,賞者,士之所死,招其所歸,示其所死,則所求者至。故禮而
軍讖にこうある。香ばしい餌の下には、必ず食いついて死ぬ魚がいる。厚い賞のもとには、必ず勇士が
軍讖曰:興師之國,務先隆恩。攻取之國,務先養民。以寡勝眾者,恩也。以弱勝強者,民也。故良將之養士,不易于身,故能使三軍如
軍讖にこうある。軍を起こそうとする国は、まず何より恩恵を厚くすることに努める。攻め取ろうとす
軍讖曰:用兵之要,必先察敵情,視其倉庫,度其糧食,卜其強弱,察其天地,伺其空隙。故國無軍旅之難,而運糧者,虛也。民菜色者
軍讖にこうある。軍を用いる要点は、必ずまず敵情をよく調べ、その倉庫を見、その食糧を測り、その
軍讖曰:上行虐,則下急刻。賦重斂數,刑罰無極,民相殘賊,是謂亡國。
軍讖にこうある。上に立つ者が過酷なふるまいをすれば、下の者もまた厳しく苛烈になる。税は重くた
軍讖曰:內貪外廉,詐譽取名,竊公為恩,令上下昏,飾躬正顏,以獲高官,是謂盜端。
軍讖にこうある。内心では貪欲でありながら外面は清廉に見せかけ、いつわりの評判を作って名声を得
軍讖曰:群吏朋黨,各進所親。招舉姦枉,抑挫仁賢,背公立私,同位相訕,是謂亂源。
軍讖にこうある。役人たちが徒党を組み、それぞれ自分と親しい者を引き立て、不正な者を招き入れて
軍讖曰:強宗聚姦,無位而尊,威而不震,葛藟相連,種德立恩,奪在位權,侵侮下民,國內諠譁,臣蔽不言,是謂亂根。
軍讖にこうある。有力な一族が悪人を集め、正式な地位もないのに尊ばれ、威勢を張っても誰も咎めず
軍讖曰:世世作姦,侵盜縣官,進退求便,委曲弄文,以危其君,是謂國姦。
軍讖にこうある。代々にわたって不正を働き、官の財を侵し盗み、進退につけて自分に都合のよいよう
軍讖曰:吏多民寡,尊卑相若,強弱相虜,莫適禁禦,延及君子,國受其咎。
軍讖にこうある。役人ばかりが多くて民が少なく、身分の上下の区別がつかず、強い者が弱い者を捕ら
軍讖曰:善善不進,惡惡不退,賢者隱蔽,不肖在位,國受其害。
軍讖にこうある。善い者を善いと認めながら登用せず、悪い者を悪いと知りながら退けない。そのため
軍讖曰:枝葉強大,比周居勢,卑賤陵貴,久而益大,上不忍廢,國受其敗。
軍讖にこうある。枝葉にあたる者たちが強大になり、徒党を組んで実権の座に居すわり、身分の低い者
軍讖曰:佞臣在上,一軍皆訟。引威自與,動違于眾。無進無退,苟然取容。專任自己,舉措伐功。誹謗盛德,誣述庸庸。無善無惡,皆
軍讖にこうある。おもねりへつらう臣が上位にいると、軍じゅうが不平を訴えるようになる。彼は君主
軍讖曰:姦雄相稱,障蔽主明。毀譽並興,壅塞主聰,各阿所私,令主失忠。故主察異言,乃觀其萌。主聘儒賢,姦雄乃遯。主任舊齒,
軍讖にこうある。よこしまな英雄たちが互いにほめ合い、君主の明察を覆い隠す。悪口と称賛が入り乱
下略
夫能扶天下之危者,則據天下之安。能除天下之憂者,則享天下之樂。能救天下之禍者,則獲天下之福。故澤及于民,則賢人歸之。澤及
天下の危機を支えることのできる者は、天下の安泰を手にする。天下の憂いを取り除くことのできる者
賢人之政,降人以體,聖人之政,降人以心。體降可以圖始,心降可以保終。降體以禮,降心以樂。所謂樂者,非金,石,絲,竹也,謂
賢人の政治は、人の身を従わせる。聖人の政治は、人の心を従わせる。身が従えば事を始めることがで
釋近謀近者,勞而無功。釋遠謀者,佚而有終。佚政多忠臣,勞政多怨民。故曰;務廣地者荒,務廣德者強。能有其有者安,貪人之有者
手近なものを捨てて手近な事ばかりを謀る者は、骨折るばかりで功がない。遠くのものにとらわれず謀
舍己而教人者逆,正己而化人者順。逆者亂之招,順者治之要。道、德、仁、義、禮五者,一體也。道者人之所蹈,德者人之所得,仁者
自分を棚に上げて人を教えようとするのは、道理に逆らうことである。自分を正すことによって人を感
出君下臣,名曰命。施于竹帛,名曰令。奉而行之,名曰政。夫命失,則令不行,令不行,則政不立。政不立,則道不通。道不通,則邪
君主から出て臣下に下されるもの、これを命という。それを竹や帛に記したもの、これを令という。そ
千里迎賢其路遠,致不肖其路近。是以明君舍近而收遠,故能全功尚人,而下盡力。
千里の彼方から賢者を迎えるには、その道のりは遠い。愚かな者を招き寄せるには、その道のりは近い
廢一善則眾善衰,賞一惡則眾惡掃。善者得其佑,惡者受其誅,則國安而眾善至。眾疑無定國,眾惑無治民,疑定惑還,國乃可安。一令
一つの善を捨て置けば、多くの善は衰える。一つの悪に賞を与えれば、多くの悪が寄り集まる。善なる
使怨治怨,是謂逆天。使讎治讎,其禍不救。治民使平,致平以清。則民得其所,而天下寧。
怨みを抱く者を使って、怨みを抱く者を治めさせる。これを天に逆らうという。仇を抱く者を使って、
犯上者尊,貪鄙者富,雖有聖主,不能致其治。犯上者誅,貪鄙者拘,則化行而眾惡消。
上に逆らう者が尊ばれ、貪欲で卑しい者が富むようであれば、たとえ聖なる君主がいても、治めること
清白之士,不可以爵祿得。節義之士,不可以威刑脅。故明君求賢,必觀其所以而致焉。致清白之士,修其禮;致節義之士,修其道。然
清廉潔白の士は、爵位や俸禄では得ることができない。節義を重んじる士は、権威や刑罰で脅すことが
夫聖人君子,明盛衰之源,通成敗之端,審治亂之機,知去就之節。
聖人や君子は、盛んになることと衰えることの根源を明らかにし、成功と失敗の始まりを見通し、治ま
雖窮不處亡國之位,雖貧不食亂邦之祿。潛名抱道者,時至而動,則極人臣之位。德合于己,則建殊絕之功。故其道高而名揚于後世。
困窮していても、滅びゆく国の官職には就かない。貧しくても、乱れた国の俸禄は食まない。名を隠し
聖王之用兵,非樂之也;將以誅暴討亂也。夫以義誅不義,若決江河而溉爝火,臨不測而擠欲墜,其克必矣。所以優游恬淡而不進者,重
聖王が兵を用いるのは、それを楽しむからではない。暴虐を正し、乱れを鎮めようとするからである。
夫人之在道,若魚之在水,得水而生,失水而死,故君子常懼而不敢失道。
人が道の中にいるのは、魚が水の中にいるようなものである。水を得れば生き、水を失えば死ぬ。だか
豪傑秉職,國威乃弱,殺生在豪傑,國勢乃竭。豪傑低首,國乃可久。殺生在君,國乃可安。四民用虛,國乃無儲。四民用足,國乃安樂
力ある豪傑が職権を握れば、国の威信は弱まる。生殺与奪の権が豪傑の手にあれば、国の勢いは尽きて
賢臣內,則邪臣外。邪臣內,則賢臣斃。內外失宜,禍亂傳世。
賢明な臣が内にあれば、邪な臣は外に退く。邪な臣が内にあれば、賢明な臣は倒れる。内と外の配置が
大臣疑主,眾姦集聚。臣當君尊,上下乃昏。君當臣處,上下失序。
大臣が君主を疑うようになれば、多くの邪な者たちが群がり集まってくる。臣下が君主に匹敵するほど
傷賢者,殃及三世。蔽賢者,身受其害。嫉賢者,其名不全。進賢者,福流子孫。故君子急于進賢,而美名彰焉。
賢者を傷つける者は、その災いが三代にまで及ぶ。賢者を覆い隠す者は、自らその害を受ける。賢者を
利一害百,民去城郭。利一害萬,國乃思散。去一利百,人乃慕澤。去一利萬,政乃不亂。
一人を利するために百人を害すれば、民は城郭を捨てて去っていく。一人を利するために万人を害すれ
中略
夫三皇無言,而化流四海,故天下無所歸功。帝者,體天則地,有言有令,而天下太平:君臣讓功,四海化行,百姓不知其所以然,故使
太古の三皇は言葉を用いなくても、その感化は世界の隅々にまで及んだ。だから天下の人々は誰の功績
軍勢曰:出軍行師,將在自專。進退內御,則功難成。
軍勢に言う。軍を動かし部隊を進めるにあたっては、将軍が現場で自ら決断する権限を持つことが肝要
軍勢曰:使智,使勇,使貪,使愚。智者,樂立其功。勇者,好行其志。貪者,邀趨其利。愚者,不顧其死。因其至情而用之,此軍之微
軍勢に言う。知恵ある者を使い、勇ある者を使い、欲深い者を使い、愚直な者を使う。知恵ある者は功
軍勢曰:無使辯士談說敵美,為其惑眾。勿使仁者主財,為其多施而附于下。
軍勢に言う。弁の立つ者に敵方の長所をあれこれ語らせてはならない。人々の心を惑わせてしまうから
軍勢曰:禁巫祝,不得為吏士卜問軍之吉凶。
軍勢に言う。占い師や祈祷師の活動を禁じ、役人や兵士のために軍の吉凶を占わせてはならない。
軍勢曰:使義士,不以財。故義者,不為不仁者死。智者,不為闇主謀。
軍勢に言う。義を重んじる者を動かすのに、財貨を用いてはならない。だから義ある者は、思いやりの
主不可以無德,無德則臣叛:不可以無威,無威則失權。臣不可以無德,無德則無以事君:不可以無威,無威則國弱,威多則身蹶。
君主は徳がなくてはならない。徳がなければ臣下は背く。また威厳がなくてはならない。威厳がなけれ
故聖王御世,觀盛衰,度得失,而為之制。故諸侯二師,方伯三師,天子六師。世亂則叛逆生,王澤竭則盟誓相誅伐。
だから聖王が世を治めるにあたっては、盛衰の動きを観察し、得失を測ったうえで制度を定めた。それ
德同勢敵,無以相傾,乃攬英雄之心,與眾同好惡,然後加之以權變。故非計策,無以決嫌定疑。非譎奇無以破姦息寇,非陰謀無以成功
徳が互角で勢力も拮抗していれば、どちらも相手を倒すことはできない。そこで英雄たちの心をつかみ
聖人體天,賢人法地,智者師古。是故三略為衰世作:上略設禮賞,別姦雄,著成敗。中略差德行,審權變。下略陳道德,察安危,明賊
聖人は天のあり方を体現し、賢人は地のあり方に法り、智者は古を師とする。それゆえ三略は、衰えた
人臣深曉中略,則能全功保身。夫高鳥死,良弓藏,敵國滅,謀臣亡。亡者,非喪其身也。謂奪其威,廢其權也。封之于朝,極人臣之位
臣下たる者が中略に深く通じていれば、功を全うしつつ身を守ることができる。高く飛ぶ鳥が射尽くさ
夫人眾一合而不可卒離。權威一與而不可卒移。還師罷軍,存亡之階。故弱之以位,奪之以國,是謂霸者之略,故霸者之作,其論駁也。
人の集団はいったん結びつくと、急には離すことができない。権威はいったん与えると、急には移すこ
存社稷,羅英雄者,中略之勢也,故勢秘焉。
国家を保ち、英雄たちを網にかけて集めること。これが中略の説く勢というものである。だからこの勢
古典を、あなたの毎日に活かす。
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