三略 / 上略
軍讖曰:枝葉強大,比周居勢,卑賤陵貴,久而益大,上不忍廢,國受其敗。
新字:軍讖曰:枝葉強大,比周居勢,卑賤陵貴,久而益大,上不忍廃,国受其敗。
書き下し
軍讖に曰く、枝葉強大にして、比周して勢に居り、卑賤にして貴きを陵ぎ、久しくして益ます大なり。上は忍びて廃せず、国は其の敗を受く、と。
現代語訳
軍讖にこうある。枝葉にあたる者たちが強大になり、徒党を組んで実権の座に居すわり、身分の低い者が高貴な者をしのぎ、時が経つにつれてますます大きくなっていく。上に立つ者は情に流されてこれを廃することができず、国はその破綻の報いを受けることになる、と。
解説
幹よりも枝葉が太くなってしまった組織の危うさを説いた一段です。傍系の者たちが徒党を組んで実権を握り、序列が逆転し、時間が経つほどその力は増していく。それでも上に立つ者は情にほだされて手を打てず、結局は組織全体が破綻の代償を払う。ここで批判の矛先が向いているのは、枝葉そのものよりも、それを断てない上の者の甘さです。現代の企業でも、特定の部門や子会社、あるいは一部の実力者が本体を凌ぐ力を持ち、経営の統制が効かなくなることがあります。多くの場合、その人物や部門はかつて大きな功績を挙げており、だからこそ経営者は手を出せません。しかし時間は問題を小さくしてはくれず、放置するほど切り離しは困難になります。情と経営判断を分けること。そして問題が小さいうちに動くこと。先送りの代償は、必ず組織全体が払うことになります。
この章句が説くこと
下剋上統制の喪失先送りの代償情と判断
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