三略 / 下略
清白之士,不可以爵祿得。節義之士,不可以威刑脅。故明君求賢,必觀其所以而致焉。致清白之士,修其禮;致節義之士,修其道。然後士可致,而名可保。
新字:清白之士,不可以爵祿得。節義之士,不可以威刑脅。故明君求賢,必観其所以而致焉。致清白之士,修其礼;致節義之士,修其道。然後士可致,而名可保。
書き下し
清白の士は、爵禄を以て得べからず。節義の士は、威刑を以て脅すべからず。故に明君の賢を求むるや、必ず其の以て致す所を観る。清白の士を致すには、其の礼を修む。節義の士を致すには、其の道を修む。然る後に士致すべくして、名保つべし。
現代語訳
清廉潔白の士は、爵位や俸禄では得ることができない。節義を重んじる士は、権威や刑罰で脅すことができない。だから明君が賢者を求めるときは、必ずその人物を招くにふさわしい手立てをよく見きわめる。清廉潔白の士を招くには、礼を修める。節義の士を招くには、道を修める。そうしてはじめて士を招くことができ、名声も保つことができる。
解説
優れた人物ほど、待遇や権力では動かせないと説く段です。清廉な人は地位や報酬で釣ることができず、節義の人は脅しに屈しません。ではどうするか。三略の答えは、招く側が自らを整えよ、というものです。清廉な人を招きたければ礼を修め、節義の人を招きたければ道を修める。求める人材の質に見合うだけの中身を、まず自分が備えよということです。人材獲得を条件闘争の問題とせず、招く側の姿勢の問題として捉え直しています。経営者にとって、これは重要な視点の転換です。優秀な人が来ないとき、報酬水準や知名度のせいにするのは簡単ですが、本当に選ばれる会社は、経営者自身が敬意に値する振る舞いをしています。人は待遇に応募し、人物と志に共感して初めて腰を据える。求める人材像は、そのまま自社が磨くべき姿の裏返しなのです。