三略 / 下略
犯上者尊,貪鄙者富,雖有聖主,不能致其治。犯上者誅,貪鄙者拘,則化行而眾惡消。
新字:犯上者尊,貪鄙者富,雖有聖主,不能致其治。犯上者誅,貪鄙者拘,則化行而眾悪消。
書き下し
上を犯す者尊く、貪鄙なる者富めば、聖主有りと雖も、其の治を致す能はず。上を犯す者誅せられ、貪鄙なる者拘へらるれば、則ち化行はれて衆悪消ゆ。
現代語訳
上に逆らう者が尊ばれ、貪欲で卑しい者が富むようであれば、たとえ聖なる君主がいても、治めることはできない。上に逆らう者が罰せられ、貪欲で卑しい者が捕らえられるならば、教化は行き渡り、多くの悪は消えていく。
解説
どんなに優れたリーダーがいても、報われる基準が狂っていれば組織は治まらないと断じた段です。秩序を破る者が重んじられ、貪欲で恥を知らない者が富む。そんな状態が続けば、聖人のような君主であっても手の施しようがありません。逆に、秩序を破る者が正され、貪る者が抑えられれば、教えは自然に行き渡り、悪は消えていく。人は理屈ではなく、誰が得をしているかを見て自分の行動を決めるからです。経営で言えば、社内で最も評価され昇進していく人が誰かということが、その会社の実質的な価値観を示します。数字さえ上げれば手段を問われない、声の大きい人が通る、そうした状態を放置したまま理念を語っても意味がありません。制度が語る建前ではなく、実際の処遇が語る本音を、社員は正確に読み取っています。何を罰し何を賞するかが、組織文化そのものです。
この章句が説くこと
評価基準組織文化賞罰と教化秩序
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