三略 / 中略
軍勢曰:禁巫祝,不得為吏士卜問軍之吉凶。
書き下し
軍勢に曰く、巫祝を禁じ、吏士の為に軍の吉凶を卜問することを得ざらしむ。
現代語訳
軍勢に言う。占い師や祈祷師の活動を禁じ、役人や兵士のために軍の吉凶を占わせてはならない。
解説
短いながら、組織運営の芯を突く一段です。占いや祈祷によって「この戦は吉か凶か」を語らせれば、人心はその一言に振り回されます。凶と出れば士気は崩れ、吉と出れば油断が生まれる。いずれにせよ、判断の根拠が事実と計算から離れ、統制のとれない不安の連鎖が始まります。だからこそ、そうした言説を組織の内部から締め出せというのです。ここには、意思決定は情報と道理に基づいて行うべきだという冷静な態度が貫かれています。現代の組織でも、根拠の薄い噂や一部の断定的な予言めいた言葉が、社内を一気に動揺させることがあります。業績予想をめぐる憶測、人事の風説、外部からの断片的な情報。リーダーの仕事は、そうした揺らぎの源を放置せず、確かな情報を早く正確に共有し、判断の土台を事実に戻すことです。不安の管理は、情報の管理から始まります。
この章句が説くこと
迷信の禁止士気の統制情報管理合理的判断
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