三略 / 中略
軍勢曰:使義士,不以財。故義者,不為不仁者死。智者,不為闇主謀。
書き下し
軍勢に曰く、義士を使ふに、財を以てせず。故に義なる者は、不仁の者の為に死せず。智なる者は、闇主の為に謀らず。
現代語訳
軍勢に言う。義を重んじる者を動かすのに、財貨を用いてはならない。だから義ある者は、思いやりのない者のために命を捨てはしない。知恵ある者は、道理に暗い主君のために策を巡らしはしない。
解説
人を動かす手段は相手によって変えねばならない、という前段の用人論を、さらに踏み込んで述べた一段です。義を重んじる人は、金銭で釣られることを侮辱と受け取ります。彼らが身を投じるのは、その相手が仁のある人物だと信じられるときだけです。同じく知恵ある人は、道理をわきまえない主君のためには頭を使いません。優れた人材ほど、報酬ではなく相手の人格と志を見て身の置きどころを決めるということです。ここには、経営者にとって耳の痛い含意があります。優秀な人が採れない、あるいは去っていくとき、原因を待遇の不足に求めがちですが、実際には自分自身が信頼に値する人物として見られていないだけかもしれません。高い志を持つ人を迎えたいなら、まず迎える側が志と誠実さを備えているかが問われます。人は条件に応募し、人物に付いていくのです。
この章句が説くこと
義士報酬の限界人格と信頼人材流出
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説苑・尊賢周の威公甯子に問いて曰く、「士を取るに道有りや」と。対えて曰く、「有り。窮する者は之を達せしめ、亡ぶる者は之を存せしめ、廃する者は之を起こせば、四方の士は則ち四面より至る。窮する者達せず、亡ぶる者存せず、廃する者起こらざれば、四方の士は則ち四面より畔く。夫れ城固きも自ら守る能わず、兵利なるも自ら保つ能わず、士を得て之を失えば、必ず其の間有り。夫れ士存すれば則ち君尊く、士亡ぶれば則ち君卑し」と。周の武公曰く、「士壹に此くの如きか」と。対えて曰く、「君聞かざるか、夫れ楚の平王士有り、曰く楚傒胥丘・負客、王将に之を殺さんとし、出でて晋に亡ぐ。晋人之を用い、是れ城濮の戦いを為す。又士有り苗賁皇と曰う、王将に之を殺さんとし、出でて晋に走る。晋人之を用い、是れ鄢陵の戦いを為す。又士有り上解于と曰う、王将に之を殺さんとし、出でて晋に走る。晋人之を用い、是れ両棠の戦いを為す。又士有り伍子胥と曰う、王其の父兄を殺し、出でて呉に走る。闔閭之を用い、是に於いて師を興して郢を襲う。故に楚の大いに梁・鄭・宋・衛の君に罪を得るも、猶お未だ遽かに此に至らざるなり。此れ四たび其の士に罪を得て、三たび其の民の骨を暴し、一たび其の国を亡ぼす。此に由りて之を観れば、士存すれば則ち国存し、士亡ぶれば則ち国亡ぶ。子胥怒りて之を亡ぼし、申包胥怒りて之を存す。士胡ぞ貴からざるべけんや」と。
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戦国策・韓珉相齊韓珉齊に相たり、吏をして公疇豎を逐わしめ、周の成陽君を留むるに大いに怒る。韓珉に謂いて曰く、「公二人の者を以て賢人と為さば、入る所の國、因りて之を用いんか。則ち其の小國に處るに如かず。何ぞや。成陽君秦の為に韓を去り、公疇豎は、楚王之を善しとす。今公因りて之を逐わば、二人の者必ず秦・楚に入り、必ず公の患いと為らん。且つ公の天下に善からざるを明らかにす。天下の公を善しとせざる者、與に齊に求むる有らんと欲する者、且に之を收めて、以て齊に臨みて公を市らんとす。」
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『韓非子』亡徵第十五群臣學を爲し、門子辯を好み、商賈外に積み、小民私に仗る者は、亡ぶ可きなり。宫室臺榭陂池を好み、車服器玩を事とし、好んで百姓を罷露し、貨財を煎靡する者は、亡ぶ可きなり。
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