三略 / 上略
軍讖曰:強宗聚姦,無位而尊,威而不震,葛藟相連,種德立恩,奪在位權,侵侮下民,國內諠譁,臣蔽不言,是謂亂根。
新字:軍讖曰:強宗聚姦,無位而尊,威而不震,葛藟相連,種徳立恩,奪在位権,侵侮下民,国内諠譁,臣蔽不言,是謂乱根。
書き下し
軍讖に曰く、強宗は姦を聚め、位無くして尊く、威ありて震わず、葛藟のごとく相い連なる。徳を種え恩を立て、在位の権を奪い、下民を侵し侮り、国内諠譁として、臣は蔽いて言わず。是を乱根と謂う、と。
現代語訳
軍讖にこうある。有力な一族が悪人を集め、正式な地位もないのに尊ばれ、威勢を張っても誰も咎めず、つる草のように絡み合って連なっている。恩徳を売って人望を作り、正規の官職にある者の権限を奪い、下々の民を侵し侮る。国じゅうが騒がしくなっても、臣下は口を閉ざして何も言わない。これを乱れの根という、と。
解説
正式な地位を持たない者が実権を握る危険を説いた一段です。有力な一族が悪しき者を集め、公の官職にないまま尊重され、つる草のように人脈を絡ませていく。彼らは恩を売って人望を築き、正規の権限を持つ者からその力を奪い、下の者を軽んじる。そして誰もが異常に気づいているのに、誰も口に出さない。この沈黙こそが乱根、乱れの根だというのです。現代の組織にも、公式の権限と実際の影響力がずれている場面はあります。役職はないのに事実上すべてを決めている古参社員、創業家の周辺、あるいは特定の取引先。本人に悪意がなくとも、責任を伴わない権力は必ず組織をゆがめます。そして最も危ういのは、皆がそれを知りながら黙っている状態です。権限と責任を一致させること、そして問題を口にできる場を保つこと。この二つが失われた組織は、内側から静かに崩れていきます。
この章句が説くこと
実権と地位のずれ非公式権力沈黙の組織乱根
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