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三略 / 上略

軍讖曰:將能清,能靜,能平,能整,能受諫,能聽訟,能納人,能採言,能知國俗,能圖山川,能表險難,能制軍權。故曰:仁賢之智,聖明之慮,負薪之言,廊廟之語,興衰之事,將所宜聞。將者,能思士如渴,則策從焉。夫將拒諫,則英雄散,策不從,則謀士叛。善惡同,則功臣倦。專己,則下歸咎。自伐,則下少功。信讒,則眾離心。貪財,則奸不禁。內顧,則士卒淫。將有一,則眾不服。有二,則軍無式。有三,則下奔北。有四,則禍及國。

新字:軍讖曰:将能清,能静,能平,能整,能受諫,能聴訟,能納人,能採言,能知国俗,能図山川,能表険難,能制軍権。故曰:仁賢之智,聖明之慮,負薪之言,廊廟之語,興衰之事,将所宜聞。将者,能思士如渴,則策従焉。夫将拒諫,則英雄散,策不従,則謀士叛。善悪同,則功臣倦。専己,則下歸咎。自伐,則下少功。信讒,則眾離心。貪財,則奸不禁。內顧,則士卒淫。将有一,則眾不服。有二,則軍無式。有三,則下奔北。有四,則禍及国。

書き下し

軍讖に曰く、将は能く清く、能く静かに、能く平らかに、能く整い、能く諫を受け、能く訟を聴き、能く人を納れ、能く言を採り、能く国俗を知り、能く山川を図り、能く険難を表し、能く軍権を制す、と。故に曰く、仁賢の智、聖明の慮、負薪の言、廊廟の語、興衰の事は、将の宜しく聞くべき所なり、と。将たる者、能く士を思うこと渇するが如くなれば、則ち策は従わる。夫れ将、諫を拒めば、則ち英雄散ず。策従われざれば、則ち謀士叛く。善悪同じければ、則ち功臣倦む。己を専らにすれば、則ち下は咎を帰す。自ら伐れば、則ち下は功少なし。讒を信ずれば、則ち衆は心を離す。財を貪れば、則ち奸は禁ぜられず。内顧すれば、則ち士卒は淫る。将に一有れば、則ち衆服せず。二有れば、則ち軍に式無し。三有れば、則ち下は奔北す。四有れば、則ち禍は国に及ぶ。

現代語訳

軍讖にこうある。将たる者は、清廉であり、静かであり、公平であり、整っており、諫言を受け入れ、訴えをよく聴き、人を受け入れ、意見を採り上げ、国の風俗を知り、山や川の地形を把握し、険しい難所を見きわめ、軍の権限を統御できなければならない、と。だからこう言うのだ。仁徳ある賢者の知恵も、聖明な人の思慮も、薪を背負う庶民の言葉も、朝廷の議論も、興亡の歴史も、すべて将が聞くべきものである、と。将が渇きを覚えるように人材を求めるなら、その策は受け入れられる。しかし将が諫言を拒めば、すぐれた人材は散り去る。策が用いられなければ謀士は背く。善も悪も同じ扱いにすれば功臣は意欲を失う。独断すれば部下は責任を上に押しつける。自分の手柄を誇れば部下は功を立てなくなる。讒言を信じれば人心は離れる。財を貪れば不正を取り締まれなくなる。私事にかまければ兵は乱れる。将にこの過ちが一つあれば人は心服せず、二つあれば軍に規範がなくなり、三つあれば部下は逃げ出し、四つあれば災いは国全体に及ぶ。

解説

上略で最も体系的な将帥論です。前半は備えるべき十二の資質を並べ、清廉・静穏・公平・整然に始まり、諫言を受け入れる度量、訴えを聴く耳、人を受け入れる器、そして現場の情報を把握する力へと及びます。注目すべきは、薪を背負う庶民の言葉まで聞くべきだとしている点です。情報は上からだけでなく、最も現場に近いところから来る。後半は一転して、将が陥る八つの過ちを列挙します。諫言を拒む、策を用いない、賞罰を区別しない、独断する、手柄を誇る、讒言を信じる、財を貪る、私事にかまける。そして過ちの数が増えるにつれ、心服の喪失から規範の崩壊、離反、国家の災厄へと段階的に悪化していく。この落差の描き方が見事です。経営者にとっては、そのまま自己点検表になります。とくに耳の痛い意見をどう扱っているかが、組織の質を決めます。

この一句を、あなたの毎日に。

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