三略 / 上略
軍讖曰:吏多民寡,尊卑相若,強弱相虜,莫適禁禦,延及君子,國受其咎。
新字:軍讖曰:吏多民寡,尊卑相若,強弱相虜,莫適禁禦,延及君子,国受其咎。
書き下し
軍讖に曰く、吏多くして民寡なく、尊卑相い若く、強弱相い虜にし、適として禁禦する莫し。延いて君子に及び、国は其の咎を受く、と。
現代語訳
軍讖にこうある。役人ばかりが多くて民が少なく、身分の上下の区別がつかず、強い者が弱い者を捕らえて奴隷のように扱い、それを取り締まる者が誰もいない。その害はやがて君子にまで及び、国全体がその咎めを受けることになる、と。
解説
管理する側ばかりが増え、実際に生み出す側が減っていく組織の病を突いた一段です。役人が多く民が少ない。役割の上下があいまいになる。強い者が弱い者を思うままに扱い、誰もそれを止めない。こうした状態を放置すれば、害は末端にとどまらず、やがて上層にまで及び、組織全体が代償を払うことになると警告します。現代の企業がまさに陥りがちな構図でしょう。管理部門や中間管理職が肥大し、承認や報告の階層が積み重なる一方で、実際に価値を生む現場が痩せていく。しかも役割分担があいまいなために、誰が何に責任を持つのかが分からない。そして立場の強い部署が弱い部署に負担を押しつけても、止める仕組みがない。組織が大きくなるほど、生産する人と管理する人の比率を意識的に点検する必要があります。放置すれば、そのツケは必ず全体に回ってきます。