三略 / 下略
出君下臣,名曰命。施于竹帛,名曰令。奉而行之,名曰政。夫命失,則令不行,令不行,則政不立。政不立,則道不通。道不通,則邪臣勝,邪臣勝,則主威傷。
書き下し
君より出でて臣に下すを、名づけて命と曰ふ。竹帛に施すを、名づけて令と曰ふ。奉じて之を行ふを、名づけて政と曰ふ。夫れ命失はるれば、則ち令行はれず、令行はれざれば、則ち政立たず。政立たざれば、則ち道通ぜず。道通ぜざれば、則ち邪臣勝つ、邪臣勝てば、則ち主威傷る。
現代語訳
君主から出て臣下に下されるもの、これを命という。それを竹や帛に記したもの、これを令という。それを承って実行すること、これを政という。命が失われれば令は行われない。令が行われなければ政は立たない。政が立たなければ道は通じない。道が通じなければ邪な臣が勢いを得る。邪な臣が勢いを得れば、君主の威は損なわれる。
解説
命・令・政という三つの段階を示し、それが崩れていく連鎖を描いた段です。君主の意思が命として発せられ、それが文書として令となり、実行されて政となる。この流れのどこか一つが途切れると、あとは連鎖的に崩れていきます。命が失われれば令は動かず、令が動かなければ政は立たず、政が立たなければ道は通じない。そして道が通じない空白を埋めるように、邪な臣が力を得て、最後には君主の威そのものが損なわれる。上意が現場の実行にまで到達しない組織では、必ず別の力学が入り込むという指摘です。経営でも、経営会議で決めたことが文書化されず、文書化されても実行されず、実行されないまま放置される。この状態が続くと、正規のラインとは別の非公式な影響力が組織を動かし始めます。決めたことを最後まで届ける実行の連鎖こそ、経営の権威を支える骨格なのです。
この章句が説くこと
命令と実行政の連鎖邪臣統治の骨格
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