三略 / 中略
軍勢曰:出軍行師,將在自專。進退內御,則功難成。
新字:軍勢曰:出軍行師,将在自専。進退内御,則功難成。
書き下し
軍勢に曰く、軍を出だし師を行るは、将は自ら専らにするに在り。進退内より御せば、則ち功成り難し。
現代語訳
軍勢に言う。軍を動かし部隊を進めるにあたっては、将軍が現場で自ら決断する権限を持つことが肝要である。進むか退くかを中央からいちいち指図されるようでは、功を成し遂げることは難しい。
解説
現場の指揮権をめぐる、きわめて実務的な一段です。軍を動かすとき、進退の判断は刻々と変わる状況の中で下されます。その場にいない中央が細部まで指図すれば、判断は遅れ、現場は動けなくなり、成果は上がらないというのです。ここで言う「自ら専らにす」とは、勝手気ままにふるまうことではなく、任された範囲について責任をもって決めきることを指します。裏を返せば、任せる側は目的と権限の範囲を明確にしておく必要があります。現代の組織でも同じ構図が繰り返されます。権限委譲したはずの案件に細かく口を出し、稟議を何段も重ねているうちに、市場の状況は変わってしまう。逆に、判断基準と撤退ラインだけを共有して現場に決めさせれば、速度も当事者意識も上がります。任せるとは、決裁を渡すことであり、同時に結果を共に引き受けることです。
この章句が説くこと
権限委譲現場決裁内御の害意思決定の速さ
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