大学或問 / 陽明学
大学或問(陽明学)の名句を、現代語訳と実践の解説つきで。全52句。
『大学或問』(だいがくわくもん)は、江戸前期の儒者・熊沢蕃山(一六一九〜一六九一)が、天下国家を治める具体の方策を問答の形で述べた経世の書です。書名は『大学』の「治国平天下」を、現実の政策として問い直す意です。蕃山は近江聖人・中江藤樹に学んだ陽明学系の人で、備前の池田光政に仕えて治水や飢饉への備え、学校づくりの実務にあたりました。上冊は、人君と人臣の天職、国を富ますことの大本、水害・日照り・北方の備え、借金・浪人・山林の荒れなどを論じ、下冊は、参勤交代の見直し、武士と農の関係(農兵)、新知行、異国の物産、切支丹・仏法・神道、学校と教師、小さな恵みと米穀の扱いへと進みます。一貫するのは、上に立つ者の務めは民を養い安んじることであり、民が困窮すれば上の天命も衰える、という考えです。備えと蓄え、制度を人の実情に合わせて直す順序、教育への投資など、組織の運営にも引き寄せて読める材料が多く含まれます。切支丹・仏法・神道の条は、蕃山の主張として江戸前期の文脈のなかで読んでください。師導では五十二の章句に分けて収めています。底本は一八九四年(明治二十七年)に経済雑誌社が刊行した活字本で、国立国会図書館が公開する画像と自動OCRを一字ずつ突き合わせて起こしました。学派は『翁問答』などと同じ「陽明学」に置いています。

人生を、一行の式にしてみた。
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