無門関 / 仏教
無門関(仏教)の名句を、現代語訳と実践の解説つきで。全48句。
南宋の禅僧・無門慧開が紹定元年(一二二八)に編んだ、禅の公案集です。古人の問答から四十八則を選び、それぞれに自らの評唱(無門曰)と頌(詩)を添えました。書名は「無門」——門が無いことこそが門である、という逆説から来ています。巻頭に置かれた趙州の「無」の一字は、後の禅の修行で最初に与えられる公案となり、日本では道元・白隠を経て、鈴木大拙によって西洋にも伝えられました。「平常心是道」「春有百花秋有月」「百尺竿頭進歩」など、いまも人口に膾炙する言葉の多くがこの書に出ます。特徴は、無門が祖師たちを一切持ち上げないことです。釈尊の拈華微笑を「羊頭を懸けて狗肉を売る」と評し、徳山と巌頭のやりとりを「操り人形の一座」と切り捨てる。答えを与えず、読む者に投げ返して終わる構えが最後の第四十八則まで貫かれており、正解を早く手にしたい人ほど手こずる一書です。師導では維基文庫の原文を底本に全四十八則を収め、各則の解説は無門自身の評唱と頌から起こしています。