春秋左氏伝 / 儒家
春秋左氏伝(儒家)の名句を、現代語訳と実践の解説つきで。全31句。
『春秋』の注釈書として書かれながら、注釈の枠をはるかに超えて中国最初の本格的な物語史となった書です。魯の隠公元年(前七二二)から哀公二十七年(前四六八)までの二百五十五年を、十二人の公の代ごとにたどります。伝統的には孔子と同時代の魯の史官・左丘明の作と伝えられます。『春秋』本文が一年に数行の記録なのに対し、左伝はその背後にある人の言葉と判断を詳しく描きます。「多く不義を行へば、必ず自ら斃る」「輔車相ひ依り、脣亡ぶれば齒寒し」「人誰か過ち無からん、過ちて能く改むる、善之より大なるは莫し」「安きに居りて危きを思ふ、思へば則ち備へ有り、備へ有れば患ひ無し」「一鼓にして氣を作す」など、いま日常で使う言葉の多くがこの書に出ます。西郷隆盛は『南洲翁遺訓』の末尾で「万国対峙の形勢を知らんと欲せば、春秋左氏伝を熟読し、助くるに孫子を以てすべし」と名指しで薦めています。諸侯が並び立ち、同盟と裏切りが交錯する春秋の記録が、そのまま列強の時代の教科書になるという読み方です。師導では維基文庫の原文(全十二公)を底本に、二十二万字におよぶ「伝」から、諫言・人事・外交・戦の判断が語られる三十一の場面を抜き出して収めています。抜粋と章題は本サイトの便宜的なもので、原典にはありません。また叙述の長い場面では、読み下し文で中略(……)を置いた箇所があります。