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春秋左氏伝 / 閔公元年 宴安は酖毒

狄人伐邢。管敬仲言於齊侯曰:「戎狄豺狼,不可厭也;諸夏親暱,不可棄也;宴安酖毒,不可懷也。《詩》云:『豈不懷歸?畏此簡書。』簡書,同惡相恤之謂也。請救邢以從簡書。」齊人救邢。

新字:狄人伐邢。管敬仲言於斉侯曰:「戎狄豺狼,不可厭也;諸夏親暱,不可棄也;宴安酖毒,不可懐也。《詩》云:『豈不懐帰?畏此簡書。』簡書,同悪相恤之謂也。請救邢以従簡書。」斉人救邢。

書き下し

狄人邢を伐つ。管敬仲齊侯に言ひて曰く、「戎狄は豺狼なり、厭く可からざるなり。諸夏は親暱なり、棄つ可からざるなり。宴安は酖毒なり、懷く可からざるなり。詩に云ふ、『豈に歸るを懷はざらんや、此の簡書を畏る』と。簡書とは、惡を同じくして相ひ恤(あは)れむの謂ひなり。請ふ邢を救ひて以って簡書に從はん」と。齊人邢を救ふ。

現代語訳

狄人が邢の国を攻めた。管仲が斉の桓公に言った。「戎狄は豺狼です。満足させることはできません。中原の諸国は親しい隣人です。見捨てることはできません。安逸は毒酒です。抱きこんではなりません。『詩経』に『どうして帰ることを思わないだろうか、しかしこの盟約の書を畏れる』とあります。簡書とは、同じ敵を持つ者が互いを憐れみ助ける約束のことです。どうか邢を救って盟約に従いましょう」。斉は邢を救った。

解説

「宴安は酖毒なり」——安逸は毒酒である。この四字が、後世まで繰り返し引かれることになる。酖毒は鴆という鳥の羽で作った毒酒で、味わいはよく、飲めば死ぬ。安らかで心地よいことを、その性質になぞらえている。管仲がこれを言うのは、平和を否定するためではない。動くべき時に動かない口実として安逸が働くからだ。三つの対句が構造を示す。外敵は満たせない、隣国は見捨てられない、安逸は抱えられない。前の二つが状況の判断で、三つめだけが自分の内側の話である。外の状況をどれだけ正しく読んでも、動かない理由が内側にあれば動けない、という順序になっている。

この章句が説くこと

宴安酖毒諸夏親暱簡書動かない口実

この一句を、あなたの毎日に。

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