山鹿語類 / 士道附錄・先生御僕之警戒
凡依一人之所悕。而不可改令行惠。廣可及衆。而后改令行惠。則其所及正也。僕隷之使役疾病。詳識日薄。考其功績。厚其禮。家僕久而篤實。則改其職。厚其祿。其才過則抑之。令彼預應接辨用之事。數以義正之。出納詳。則令彼司出納。以利己幹家事。不可重其人。家僕其志勤職利衆爲上。以利主爲下。唯以所其長命其職也。
新字:凡依一人之所悕。而不可改令行恵。広可及衆。而后改令行恵。則其所及正也。僕隷之使役疾病。詳識日薄。考其功績。厚其礼。家僕久而篤実。則改其職。厚其禄。其才過則抑之。令彼預応接弁用之事。数以義正之。出納詳。則令彼司出納。以利己幹家事。不可重其人。家僕其志勤職利衆為上。以利主為下。唯以所其長命其職也。
書き下し
凡そ一人の悕ふ所に依りて、令を改め恵みを行ふべからず。広く衆に及ぶべくして、而る後に令を改め恵みを行へば、則ち其の及ぶ所正しきなり。僕隷の使役疾病は、詳らかに日薄に識し、其の功績を考へて、其の礼を厚くす。家僕久しくして篤実なれば、則ち其の職を改め、其の禄を厚くす。其の才過ぐれば則ち之を抑ふ。彼をして応接弁用の事に預からしめ、数々義を以て之を正す。出納詳らかなれば、則ち彼をして出納を司らしむ。己を利し家事に幹たるを以て、其の人を重んずべからず。家僕は其の志職に勤め衆を利するを上と為し、主を利するを以て下と為す。唯だ其の長ずる所を以て其の職を命ずるなり。
現代語訳
およそ一人の願いによって、決まりを改めたり恵みを施したりしてはならない。広く皆に及ぼしてよいと見きわめたうえで決まりを改め恵みを施せば、その及ぶところは正しい。召使いの働きぶりや病気は、日々の帳面に詳しく記し、その功績を考えて、待遇を厚くする。家僕が長く仕えて誠実であれば、役目を改め、俸禄を厚くする。才が過ぎる者はこれを抑える。来客の応対や用向きの処理に関わらせ、たびたび義によって正してやる。金銭の出し入れに細かい者には出納を受け持たせる。主人の利をはかって家事を切り回すからといって、その人を重んじてはならない。家僕は、志して職務に励み皆の利益をはかる者を上とし、主人の利益をはかる者を下とする。ただその長所によって役目を命じるのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『韓非子』説疑第四十四聖王明君は則ち然らず、内挙は親を避けず、外挙は讎を避けず。是焉に在れば、従ひて之を挙げ、非焉に在れば、
-
『春秋左氏伝』襄公十五年 楚、能く人を官す十五年春、宋の向戌來聘し、且つ盟を尋む。孟獻子に見え、其の室を尤めて曰く、「子は令聞有りて、其の室を美にす。望む所に非ざるなり」と。對へて曰く、「我晉に在りしとき、吾が兄之を為れり。之を毀つは勞を重ね、且つ敢へて間せず」と。官師單靖公に從ひて、王后を齊に逆ふ。卿行かざるは、禮に非ざるなり。楚の公子午令尹と為り、公子罷戎右尹と為り、蒍子馮大司馬と為り、公子橐師右司馬と為り、公子成左司馬と為り、屈到莫敖と為り、公子追舒箴尹と為り、屈蕩連尹と為り、養由基宮廄尹と為り、以って國人を靖んず。君子謂ふ、「楚是に於いてか能く人を官す。人を官するは國の急なり。能く人を官すれば、則ち民覦心無し。詩に云ふ、『嗟我人を懷ひ、彼の周行に寘かん』と。能く人を官するなり。王及び公・侯・伯・子・男・甸・采・衛の大夫、各其の列に居る。所謂周行なり」と。
-
『韓非子』外儲說左下第三十三桓公吏を置くことを管仲に問ふ、管仲曰く、「辞に弁察し、貨に清潔にして、人情に習ふこと、夷吾は絃商に如かず、請ふ立てて以て大理と為さん。登降粛譲し、以て礼を明らかにして賓を待つこと、臣は隰朋に如かず、請ふ立てて以て大行と為さん。草を墾き邑を仞め、地を辟き粟を生ずること、臣は甯戚に如かず、請ふ以て大田と為さん。三軍既に陣を成し、士をして死を視ること帰するが如くならしむること、臣は公子成父に如かず、請ふ以て大司馬と為さん。顔を犯し諫を極むること、臣は東郭牙に如かず、請ふ立てて以て諫臣と為さん。
-
廟堂忠告・任怨第六夫れ人臣たる者は、惟だ名を收めんと欲して敢えて怨みに任ぜざる、此れ不忠の尤も甚だしき者なり。廟堂の上に居りては、凡そ為す所有れば、惟だ當に之を揆るに義を以てすべし。義苟くも失わざれば、悠悠の言、奚ぞ恤えんや。今夫れ兩軍の交わり、兵刅(へいじん)前に叢がるも、心誠に報國する者は、尚お之を冐して顧みず。夫れ政に臨むと敵に臨むと、其の安危利害相距たること霄壤(しょうじょう)なるに、此れ猶お顧み惜しむ、抑も知らず、萬死一生の際に於て何如と為すか。昔范文正公、諸路の監司の人に非ざるを患え、選簿を視て不可なる者有れば、輒ち茟(ふで)もて之を勾す。或るひと謂う、「一茟退くれば一人、則ち是れ一家哭せん」と。公曰く、「一家哭するも、其れ一路を如何せん」と。嗚呼、是くの如く處心せば、斯ち宰相の職に負かざらん。大拞(たいてい)天下の事、易有り難有り、利有り害有り。難にして害有る者は、人多く辭避し、利にして行い易き者は、人多く忻然として以す。殊に知らず、官に長佐の分有り、體に勞逸の殊なる有り、長なる者は逸にして佐なる者は勞す、此れ天地の大義なり。朝廷を以て之を言えば、君上は逸にして臣下は勞す。一家を以て之を言えば、父母は逸にして子弟は勞す。一身を以て之を言えば、頭目は逸にして手足は勞す。嗚呼、人にして此れを知る者は、必ず君父を遺して以て憂えしめず、其の長を眾怨の地に措かざらん。近代執政為る者は、往往にして姑息好名、一たび疾言厲色すれば、敢て人に加えず、事或いは罪を犯せば、己の右に居る者を激まし之を發かしむ。嗚呼、夫れ家を治むるに父毋(ふぼ)をして其の勞に任ぜしめ、國家の為に君長をして其の怨に任ぜしむるは、尚お忠孝を為すを得んや。况んや罪有りて責めず、善有りて旌わさざれば、三代と雖も治を為す能わず。故に刑罰は用うるを患えず、直だ之を用いて公ならざるを患う。昔威公、伯氏の駢邑三百を奪うも、齒を沒うるまで怨言無く、諸葛孔眀、廖立を廢するも、立、亮の死を聞きて輒ち泣下る。宰相為る者誠に能く其の心を公にすること是くの如くならば、則ち天下服せざる者蔑からん。
-
論語・公冶長篇孟武伯問う、「子路は仁なりや。」子曰く、「知らざるなり。」又問う。子曰く、「由や、千乗の国、其の賦を治めしむ可きなり。其の仁を知らざるなり。」「求や何如。」子曰く、「求や、千室の邑、百乗の家、之が宰たらしむ可きなり。其の仁を知らざるなり。」「赤や何如。」子曰く、「赤や、束帯して朝に立ち、賓客と言わしむ可きなり。其の仁を知らざるなり。」
-
『講孟余話』盡心上 第四十章又徳ありて材なき者あり、材ありて徳なき者あり。材なき、徳なきと云ふ者は、某材某徳と指し云ふべきなきを云ふ。愚鈍無材、狂悖失徳の人を云はず。君側諸官並びに目付役等は必ずしも材を要せず、只徳を選ぶべし。治民の職は治民の材あり、理財の職は理財の材あり、軍務の職は軍務の材あり。公儀人は幕府列藩の制度・格例・事体・事情に通ずる人なるべし。物頭は弓銃の技、坐作の節、陣営の法、戦闘の機を悟る人なるべし。所謂「賢者位に在り、能者職に在り」と云ふも此の事にて、賢者は即ち有徳の人なり、能者は即ち有材の人なり。而して徳材を兼ねて教ふる者は君子なり、賢能を合せ用ゐる者は君相なり。君子を以て是れを教ふる時は、徳は実徳となりて、迂闊事情に通ぜざるの愚物を指して徳とするに至らず。材は実材となりて、譎詐姦慝の悪漢を目して材とするに至らず。譬へば明君良相の所謂賢は無能の異名に非ず、所謂能は不賢の偽作に非ざるが如し。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る