春秋左氏伝 / 襄公十五年 楚、能く人を官す
十五年春。宋向戌來聘。且尋盟。見孟獻子。尤其室曰。子有令聞。而美其室。非所望也。對曰。我在晉。吾兄為之。毀之重勞。且不敢間。官師從單靖公。逆王后于齊。卿不行。非禮也。楚公子午為令尹。公子罷戎為右尹。蒍子馮為大司馬。公子橐師為右司馬。公子成為左司馬。屈到為莫敖。公子追舒為箴尹。屈蕩為連尹。養由基為宮廄尹。以靖國人。君子謂楚於是乎能官人。官人。國之急也。能官人。則民無覦心。詩云。嗟我懷人。寘彼周行。能官人也。王及公侯。伯。子。男。甸。采。衛大夫。各居其列。所謂周行也。
新字:十五年春。宋向戌来聘。且尋盟。見孟献子。尤其室曰。子有令聞。而美其室。非所望也。対曰。我在晋。吾兄為之。毀之重労。且不敢間。官師従単靖公。逆王后于斉。卿不行。非礼也。楚公子午為令尹。公子罷戎為右尹。蒍子馮為大司馬。公子橐師為右司馬。公子成為左司馬。屈到為莫敖。公子追舒為箴尹。屈蕩為連尹。養由基為宮廄尹。以靖国人。君子謂楚於是乎能官人。官人。国之急也。能官人。則民無覦心。詩云。嗟我懐人。寘彼周行。能官人也。王及公侯。伯。子。男。甸。采。衛大夫。各居其列。所謂周行也。
書き下し
十五年春、宋の向戌來聘し、且つ盟を尋む。孟獻子に見え、其の室を尤めて曰く、「子は令聞有りて、其の室を美にす。望む所に非ざるなり」と。對へて曰く、「我晉に在りしとき、吾が兄之を為れり。之を毀つは勞を重ね、且つ敢へて間せず」と。官師單靖公に從ひて、王后を齊に逆ふ。卿行かざるは、禮に非ざるなり。楚の公子午令尹と為り、公子罷戎右尹と為り、蒍子馮大司馬と為り、公子橐師右司馬と為り、公子成左司馬と為り、屈到莫敖と為り、公子追舒箴尹と為り、屈蕩連尹と為り、養由基宮廄尹と為り、以って國人を靖んず。君子謂ふ、「楚是に於いてか能く人を官す。人を官するは國の急なり。能く人を官すれば、則ち民覦心無し。詩に云ふ、『嗟我人を懷ひ、彼の周行に寘かん』と。能く人を官するなり。王及び公・侯・伯・子・男・甸・采・衛の大夫、各其の列に居る。所謂周行なり」と。
現代語訳
襄公十五年の春、宋の向戌(しょうじゅつ)が魯に聘問に来て、あわせて盟約を再確認した。向戌は孟献子(もうけんし、仲孫蔑)に会い、その屋敷のことをとがめて言った。「あなたは評判の良い方なのに、屋敷を豪華にしておられる。期待していたことではありません」。孟献子は答えた。「私が晋に行っていたときに、兄が建てたのです。これを壊せば労役を重ねることになりますし、また兄のしたことをあえて非難することもできません」。周の官師(下級の役人)が単靖公に従って、斉へ王后を迎えに行った。卿が迎えに行かなかったのは、礼にかなっていない。楚では、公子午(子庚)が令尹となり、公子罷戎が右尹、蒍子馮(いしひょう)が大司馬、公子橐師が右司馬、公子成が左司馬、屈到が莫敖、公子追舒が箴尹、屈蕩が連尹、養由基が宮廄尹となって、国人の心を安んじた。君子は言った。「楚はこのとき、よく人を官職に就けた。人をふさわしい官に就けることは、国にとって最も急を要することである。人をよく官に就ければ、民は分不相応の望みを抱かなくなる。『詩経』に『ああ、私はすぐれた人を思い、あの周の官の列に置きたい』とあるのは、よく人を官に就けることを言っている。王をはじめ公・侯・伯・子・男、甸・采・衛の各服の大夫が、それぞれ自分の列に就いていること、これがいわゆる『周行』である」。
解説
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