山鹿語類 / 士道附錄・先生子弟警戒
爾子弟。人之輔養。在衣食居日用之間。衣服者。備寒暑。節禮容。隨其職業。設其制裁。踈密染飾。各有用。而着用之法不正。則心亦因之不正。服褻衣。乃心從而佚。着禮服。乃心檢而正。故踈密制裁。表紋着服之法以禮。則自輔養其心氣也。飮食者。時飽饑。養身躰。其厚薄各有禮。志士不恥惡食。飽滿暖衣。勤必怠。飮食之間。輕忽放僻。乃失禮容。飲食不以時。從好惡。則飽饑失節矣。居宅避濕風雨露。會衆安人置物守儉應禮。居移氣。古之戒也。水元一。而其所因。或泥沙。或流止。或遠近。各異其性。身之所居。豈可忽乎。日用之事物。心氣惟寓。如器物之輕。能究理盡禮制形具用。則足輔養心氣。
新字:爾子弟。人之輔養。在衣食居日用之間。衣服者。備寒暑。節礼容。随其職業。設其制裁。疎密染飾。各有用。而着用之法不正。則心亦因之不正。服褻衣。乃心従而佚。着礼服。乃心検而正。故疎密制裁。表紋着服之法以礼。則自輔養其心気也。飲食者。時飽饑。養身体。其厚薄各有礼。志士不恥悪食。飽満暖衣。勤必怠。飲食之間。軽忽放僻。乃失礼容。飲食不以時。従好悪。則飽饑失節矣。居宅避湿風雨露。会衆安人置物守倹応礼。居移気。古之戒也。水元一。而其所因。或泥沙。或流止。或遠近。各異其性。身之所居。豈可忽乎。日用之事物。心気惟寓。如器物之軽。能究理尽礼制形具用。則足輔養心気。
書き下し
爾子弟、人の輔養は、衣食居日用の間に在り。衣服は、寒暑に備へ、礼容を節し、其の職業に随ひて其の制裁を設く。疎密染飾、各々用有り。而して着用の法正しからざれば、則ち心も亦之に因りて正しからず。褻衣を服すれば、乃ち心従ひて佚す。礼服を着くれば、乃ち心検して正し。故に疎密制裁、表紋着服の法、礼を以てすれば、則ち自ら其の心気を輔養するなり。飲食は、飽饑を時にし、身体を養ふ。其の厚薄各々礼有り。志士は悪食を恥ぢず。飽満暖衣すれば、勤め必ず怠る。飲食の間、軽忽放僻なれば、乃ち礼容を失ふ。飲食時を以てせず、好悪に従へば、則ち飽饑節を失ふ。居宅は湿風雨露を避け、衆を会し人を安んじ物を置き、倹を守り礼に応ず。居は気を移す、古の戒めなり。水は元一なり。而して其の因る所、或いは泥沙、或いは流止、或いは遠近、各々其の性を異にす。身の居る所、豈に忽にすべけんや。日用の事物は、心気惟れ寓る。器物の軽きが如きも、能く理を究め礼を尽くし形を制し用を具ふれば、則ち心気を輔養するに足る。
現代語訳
子弟たちよ、人を助け養うものは、衣・食・住と日々用いるものの間にある。衣服は寒さ暑さに備え、礼にかなった姿を整えるもので、それぞれの職業に応じて仕立てを定める。生地の粗い細かい、染めや飾りには、それぞれ用途がある。そして着方が正しくなければ、心もそれにつれて正しくなくなる。ふだん着を着れば心もそれに従ってだらける。礼服を着れば心は引き締まって正しくなる。だから生地や仕立て、表の紋や着方を礼にかなわせれば、おのずからその心と気を助け養うのである。飲食は、満腹と空腹を時に応じて整え、からだを養うものである。その厚い薄いにはそれぞれ礼がある。志ある士は粗末な食事を恥じない。腹いっぱい食べて暖かい服を着れば、勤めは必ず怠る。飲み食いの間に軽々しく勝手気ままであれば、礼にかなった姿を失う。飲食を決まった時にとらず、好き嫌いに従えば、満腹と空腹が節度を失う。住まいは湿気や風雨・露を避け、人を集め人を安んじ物を置くところで、倹約を守り礼にかなわせる。「居は気を移す」とは古の戒めである。水はもともと一つだが、それが接するところによって、泥や砂を含んだり、流れたり淀んだり、遠く近くと、それぞれ性質が異なってくる。わが身の居る所をどうしておろそかにできようか。日々用いる事物には、心と気が宿っている。器物のような軽いものでも、よくその理を究め、礼を尽くし、形を整え、用途を備えれば、心と気を助け養うに足るのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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説苑・奉使晏子將に荊に使いせんとす。荊王之を聞き、左右に謂いて曰く、「晏子は賢人なり。今方に來らんとす。之を辱めんと欲す、何を以てせん。」左右對えて曰く、「其の來るに爲り、臣請う一人を縛りて王を過りて行かしめん。」是に於て荊王晏子と立ちて語る。一人を縛る有り、王を過りて行く。王曰く、「何を爲す者ぞ。」對えて曰く、「齊人なり。」王曰く、「何の坐ぞ。」曰く、「盜に坐す。」王曰く、「齊人固より盜するか。」晏子反顧して之に曰く、「江南に橘有り、齊王人をして之を取りて江北に樹えしむるに、生じて橘と爲らず、乃ち枳と爲る。然る所以は何ぞ。其の土地之をして然らしむるなり。今齊人齊に居りて盜せず、荊に來りて盜す、土地之をして然らしむる無きを得んか。」荊王曰く、「吾子を傷つけんと欲して反りて自ら中れり。」
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論語・衛霊公篇子貢、仁を為すを問う。子曰く、「工、其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器を利くす。是の邦に居るや、其の大夫の賢者に事え、其の士の仁者を友とす。」
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孫子・始計篇天とは、陰陽・寒暑・時制なり。
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孟子・盡心章句下孟子曰く、「君子の陳・蔡の間に戹するは、上下の交はり無ければなり。」
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孟子・滕文公章句下孟子、戴不勝に謂いて曰く、「子は子の王の善ならんことを欲するか。我明らかに子に告げん。此に楚の大夫有らんに、其の子の齊語せんことを欲すれば、則ち齊人をして諸に傅たらしめんか。楚人をして諸に傅たらしめんか。」曰く、「齊人をして之に傅たらしめん。」曰く、「一齊人之に傅たるも、衆楚人之を咻せば、雖日に撻(むちうつ)ちて其の齊たらんことを求むと雖も、得可からず。引いて之を莊嶽の間に置くこと數年ならば、日に撻ちて其の楚たらんことを求むと雖も、亦た得可からず。子、薛居州を善士と謂い、之をして王の所に居らしむ。王の所に在る者、長幼卑尊、皆薛居州ならば、王は誰と與にか不善を為さん。王の所に在る者、長幼卑尊、皆薛居州に非ざれば、王は誰と與にか善を為さん。一薛居州、獨り宋王を如何せん。」 <語釈> ○「咻」、音はキュウ、義はかまびすしくすること。○「莊嶽」、顧炎武云う、莊は是れ街の名、嶽は是れ里の名。
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『墨子』所染子墨子、染絲する者を見て歎じて言いて曰く、「蒼に染むれば則ち蒼く、黄に染むれば則ち黄なり。入るる所の者變ずれば、其の色も亦た變ず。五たび入れて已に五色と為る。故に染は慎まざる可からざるなり」と。
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