山鹿語類 / 士道・明衣服之制
凡そ間色は四方の色相交てなるの色にして、純粹なる色にあらず。衣服は威儀のよる處なれば、君子大丈夫の所貴也。然るに好むにまかせて色をなし、風流によつて婉色を用、利害によつて穢汚のあらはれざるを專とす。是古制の心に非ず。小人のわざ也。本朝准唐制して紫色を禁じて、卑賤のものに不令着。是因循する故也。而して表文を染め出すこと、古來其制尤も嚴也。其德あらずして其表文を盛にせんことは、上下の品にあらず。丘文莊曰。我朝凡官品常服。用雜色紵絲綾羅絲繡。庶民止用紬絹紗布。並不許玄黃紫三色。並織繡龍鳳文。違者罪及染造之人といへり。最等のことを詳にして、具に究明いたすべし。
新字:凡そ間色は四方の色相交てなるの色にして、純粋なる色にあらず。衣服は威儀のよる処なれば、君子大丈夫の所貴也。然るに好むにまかせて色をなし、風流によつて婉色を用、利害によつて穢汚のあらはれざるを専とす。是古制の心に非ず。小人のわざ也。本朝准唐制して紫色を禁じて、卑賤のものに不令着。是因循する故也。而して表文を染め出すこと、古来其制尤も厳也。其徳あらずして其表文を盛にせんことは、上下の品にあらず。丘文荘曰。我朝凡官品常服。用雑色紵糸綾羅糸繍。庶民止用紬絹紗布。並不許玄黄紫三色。並織繍竜鳳文。違者罪及染造之人といへり。最等のことを詳にして、具に究明いたすべし。
書き下し
凡そ間色は四方の色相交てなるの色にして、純粋なる色にあらず。衣服は威儀のよる処なれば、君子大丈夫の所貴也。然るに好むにまかせて色をなし、風流によつて婉色を用、利害によつて穢汚のあらはれざるを専とす。是古制の心に非ず。小人のわざ也。本朝准唐制して紫色を禁じて、卑賤のものに不令着。是因循する故也。而して表文を染め出すこと、古来其制尤も厳也。其徳あらずして其表文を盛にせんことは、上下の品にあらず。丘文荘曰。我朝凡官品常服。用雑色紵糸綾羅糸繍。庶民止用紬絹紗布。並不許玄黄紫三色。並織繍竜鳳文。違者罪及染造之人といへり。最等のことを詳にして、具に究明いたすべし。
現代語訳
およそ間色は四方の色が交わってできる色であって、純粋な色ではない。衣服は威儀のよりどころであるから、君子・大丈夫が尊ぶものである。それなのに好みにまかせて色を作り、風流によってなまめかしい色を用い、損得によって汚れが目立たないことを第一とする。これは古の制度の心ではない。小人のしわざである。わが国は唐の制度に準じて紫色を禁じ、身分の低い者には着せない。これは前例をそのまま踏襲しているからである。そして紋を染め出すことは、古来その制度がもっとも厳しい。その徳がないのにその紋を盛んにするのは、上下の等級にかなわない。丘文荘は言う。「わが(明)朝では、およそ官位ある者の常服には、雑色の紵・絹糸・綾・羅・刺繍を用い、庶民はただ紬・絹・紗・布を用いるだけとする。いずれも黒・黄・紫の三色を許さず、龍や鳳の文様を織ったり刺繍したりすることも許さない。違反した者は、罪が染めたり作ったりした人にまで及ぶ」と言っている。もっぱらこうした等級のことを詳しくして、つぶさに究明すべきである。
解説
この章句が説くこと
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史記 礼書歩驟馳騁広騖するも外れず、是を以て君子の性は宮庭を守るなり。人域是れ域とするは、士君子なり。是に外るるは、民なり。是に於いて中し、房皇周浹し、曲直其の次序を得るは、聖人なり。故に厚きとは、礼の積なり。大なるとは、礼の広なり。高きとは、礼の隆なり。明らかなるとは、礼の尽なり。
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礼記・礼運故に唯だ聖人のみ礼の以て已むべからざるを知ると為す。故に国を壊り、家を喪い、人を亡ぼすは、必ず先ず其の礼を去る。故に礼の人に於けるや、猶お酒の糱(げつ)有るがごときなり。君子は以て厚く、小人は以て薄し。
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