礼記 / 礼運
「故唯聖人為知禮之不可以已也,故壞國、喪家、亡人,必先去其禮。故禮之於人也,猶酒之有糱也,君子以厚,小人以薄。
新字:「故唯聖人為知礼之不可以已也,故壊国、喪家、亡人,必先去其礼。故礼之於人也,猶酒之有糱也,君子以厚,小人以薄。
書き下し
故に唯だ聖人のみ礼の以て已むべからざるを知ると為す。故に国を壊り、家を喪い、人を亡ぼすは、必ず先ず其の礼を去る。故に礼の人に於けるや、猶お酒の糱(げつ)有るがごときなり。君子は以て厚く、小人は以て薄し。
現代語訳
だからただ聖人だけが、礼をやめてはならないことを知っている。だから国を滅ぼし、家を失い、身を亡ぼす者は、必ずまずその礼を捨てている。だから人にとって礼は、酒にとって麹(こうじ)があるようなものである。君子は礼によって厚くなり、小人は礼を粗略にして薄くなる。
解説
礼を酒の麹にたとえた短い段である。国が壊れ、家が失われ、人が滅びるときには、必ずその前に礼が捨てられているという。礼がやんでよいものではないことを知るのは聖人だけだとし、礼の衰えを破滅の前兆として示している。麹の比喩について鄭玄は、酒はいずれも美味とされるが、性の善いものが醇くなると注している。同じ麹を用いても良い酒と薄い酒ができるように、同じ礼を受けても、君子はそれによって人柄を厚くし、小人は薄いままにとどまる。礼は人を変える力を持つが、それを生かすかどうかは受け手の資質と努力にかかっているという含みがある。礼が同じでも人によって結果が違うというこの見方は、同じ研修や同じ規則を与えても、人によって育ち方がまるで違うという今の経験にもよく重なる。
この章句が説くこと
礼記礼君子麹礼運
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