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山鹿語類 / 士道・節飮食之用

曲禮曰、凡進食之禮、左殽右胾、食居人之左、羹居人之右、膾炙處外、醯醬處內、葱深處末、酒漿處右、卒食客自前跪、撤飯齊、以授相者、主人起辭於客、然後客坐。玉藻曰、客祭、主人辭曰、不足祭也、客飱、美食也主人辭以疏、云々。是賓主の禮也。此外飮食を用ひ、或は給仕配膳の法、或は飮酒の儀、品々多しといへども、本朝の式に異也。其進退禮讓は、よく究理するの輩に學んで、時宜に隨ふべし。

新字:曲礼曰、凡進食之礼、左殽右胾、食居人之左、羹居人之右、膾炙処外、醯醬処内、葱深処末、酒漿処右、卒食客自前跪、撤飯斉、以授相者、主人起辞於客、然後客坐。玉藻曰、客祭、主人辞曰、不足祭也、客飱、美食也主人辞以疏、云々。是賓主の礼也。此外飲食を用ひ、或は給仕配膳の法、或は飲酒の儀、品々多しといへども、本朝の式に異也。其進退礼譲は、よく究理するの輩に学んで、時宜に随ふべし。

書き下し

曲礼曰、凡進食之礼、左殽右胾、食居人之左、羹居人之右、膾炙処外、醯醬処内、葱深処末、酒漿処右、卒食客自前跪、撤飯斉、以授相者、主人起辞於客、然後客坐。玉藻曰、客祭、主人辞曰、不足祭也、客飱、美食也主人辞以疏、云々。是賓主の礼也。此外飲食を用ひ、或は給仕配膳の法、或は飲酒の儀、品々多しといへども、本朝の式に異也。其進退礼譲は、よく究理するの輩に学んで、時宜に随ふべし。

現代語訳

曲礼篇に「およそ食事を進める礼は、骨つきの肉を左に、大切りの肉を右に置く。飯は人の左に、羹は人の右に置く。膾と焼き肉は外側に、酢と醤は内側に置く。葱の和え物は端に、酒と漿(飲み物)は右に置く。食べ終えたら、客は前に進んで跪き、飯とおかずを下げて給仕の者に渡す。主人が立って客に辞退し、そののちに客は座る」とある。玉藻篇に「客が祭(食前に少し供える)をすると、主人は辞退して『祭るほどのものではありません』と言う。客が飯をたいらげて(美味であったということ)ほめると、主人は粗末なものですと辞退する、云々」とある。これらが賓客と主人の礼である。このほかに、飲食の用い方、あるいは給仕や配膳の法、あるいは飲酒の儀式など、種類は多いけれども、わが国の式とは異なる。その進退や礼譲は、よく理を究めた人に学んで、時宜に従うべきである。

解説

本条は賓客と主人の間の食事の礼を示す。『礼記』曲礼の配膳の定め、すなわち骨つき肉は左、大切りの肉は右、飯は左、羹は右といった位置や、食後に客が膳を下げようとし主人が押しとどめるやり取り、玉藻の客と主人の謙譲の言葉を引く。そのうえで素行は、給仕や配膳、飲酒の儀は中国とわが国で式が違うから、よく理を究めた人に学んで時宜に従えと結ぶ。経書を権威として丸写しせず、日本の作法の実際に照らして用いるという姿勢が、飲食の章でも一貫している。現代でも、もてなす側とされる側が互いに譲り合う言葉のやり取りは、和やかな会食の基本である。

この章句が説くこと

賓主礼時宜謙譲曲礼飲食

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