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山鹿語類 / 士道・節飮食之用

次に飮食の制あり。其人の俸祿官位に從て、各相定まる處の飮食を制すべし。位高く祿厚き人は、上品の食を以て養とす。中下各これにしたがふべし。其間分限より儉するにあるべし。過奢は限りなきものにして、多くの費あれば也。王制曰、諸侯無故不殺牛、大夫無故不殺羊、士無故不殺犬豕、庶人無故不食班、謂敬祭饗と云。是人の位によつて其飮食の制あつて、その間儉を用る也。周禮に、天子羞用百二十品と云へり。又公食大夫禮燕禮、皆以て可考。

新字:次に飲食の制あり。其人の俸禄官位に従て、各相定まる処の飲食を制すべし。位高く禄厚き人は、上品の食を以て養とす。中下各これにしたがふべし。其間分限より倹するにあるべし。過奢は限りなきものにして、多くの費あれば也。王制曰、諸侯無故不殺牛、大夫無故不殺羊、士無故不殺犬豕、庶人無故不食班、謂敬祭饗と云。是人の位によつて其飲食の制あつて、その間倹を用る也。周礼に、天子羞用百二十品と云へり。又公食大夫礼燕礼、皆以て可考。

書き下し

次に飲食の制あり。其人の俸禄官位に従て、各相定まる処の飲食を制すべし。位高く禄厚き人は、上品の食を以て養とす。中下各これにしたがふべし。其間分限より倹するにあるべし。過奢は限りなきものにして、多くの費あれば也。王制曰、諸侯無故不殺牛、大夫無故不殺羊、士無故不殺犬豕、庶人無故不食班、謂敬祭饗と云。是人の位によつて其飲食の制あつて、その間倹を用る也。周礼に、天子羞用百二十品と云へり。又公食大夫礼燕礼、皆以て可考。

現代語訳

次に飲食の定めがある。その人の俸禄と官位に従って、それぞれ定まった飲食を決めるべきである。位が高く禄の厚い人は、上等の食で身を養う。中・下の者もそれぞれこれに従うべきである。その範囲の中で、分限より倹約することにあるべきである。奢りには限りがなく、多くの出費があるからである。『礼記』王制篇に「諸侯はわけもなく牛を殺さず、大夫はわけもなく羊を殺さず、士はわけもなく犬や豚を殺さず、庶人はわけもなく珍しい物を食べない(わけとは祭や饗宴をいう)」とある。これは人の位によって飲食の定めがあって、その範囲で倹約を用いるということである。『周礼』には「天子の膳には百二十品を用いる」とある。また『儀礼』の公食大夫礼や燕礼も、みな考えるべきである。

解説

本条は身分に応じた飲食の定めを説く。禄と官位に従って食の品格を定め、その範囲の中で分限より少し倹約するのがよいという。奢りには際限がないからである。『礼記』王制の、諸侯・大夫・士・庶人がそれぞれ理由なく牛・羊・犬豚を殺さないという規定を引き、位による差と倹約が両立することを示す。一方で『周礼』の天子百二十品も挙げ、高い位には相応の食があると認める。素行の飲食論は、一律の質素ではなく、分に応じた節度を説く点に特色がある。現代でも、役職や立場にふさわしい会食の水準を保ちつつ、その中で無駄を省く感覚が求められる。

この章句が説くこと

飲食倹約分限礼節度礼記

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