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春秋左氏伝 / 昭公二十五年 礼は天地の経緯

昏媾。姻亞。以象天明。為政事。庸力行務。以從四時。為刑罰。威獄。使民畏忌。以類其震曜殺戮。為溫。慈。惠。和。以效天之生殖。長育。民有好惡喜怒哀樂。生于六气。是故審則宜類。以制六志。哀有哭泣。樂有謌舞。喜有施舍。怒有戰鬥。喜生於好。怒生於惡。是故審行信令。禍福賞罰。以制死生。生。好物也。死。惡物也。好物樂也。惡物哀也。哀樂不失。乃能協于天地之性。是以長久。簡子曰。甚哉禮之大也。對曰。禮上下之紀。天地之經緯也。民之所以生也。是以先王尚之。故人之能自曲直以赴禮者。謂之成人。大不亦宜乎。簡子曰。鞅也。請終身守此言也。

新字:昏媾。姻亜。以象天明。為政事。庸力行務。以従四時。為刑罰。威獄。使民畏忌。以類其震曜殺戮。為温。慈。恵。和。以効天之生殖。長育。民有好悪喜怒哀楽。生于六气。是故審則宜類。以制六志。哀有哭泣。楽有謌舞。喜有施舎。怒有戦鬥。喜生於好。怒生於悪。是故審行信令。禍福賞罰。以制死生。生。好物也。死。悪物也。好物楽也。悪物哀也。哀楽不失。乃能協于天地之性。是以長久。簡子曰。甚哉礼之大也。対曰。礼上下之紀。天地之経緯也。民之所以生也。是以先王尚之。故人之能自曲直以赴礼者。謂之成人。大不亦宜乎。簡子曰。鞅也。請終身守此言也。

書き下し

昏媾・姻亞を為りて、以って天明に象る。政事・庸力・行務を為りて、以って四時に從ふ。刑罰・威獄を為りて、民をして畏忌せしめ、以って其の震曜殺戮に類す。溫・慈・惠・和を為りて、以って天の生殖長育に效ふ。民に好惡喜怒哀樂有り、六气より生ず。是の故に審らかに宜しく類して、以って六志を制す。哀に哭泣有り、樂に謌舞有り、喜に施舍有り、怒に戰鬥有り。喜は好より生じ、怒は惡より生ず。是の故に行ひを審らかにし令を信にし、禍福賞罰、以って死生を制す。生は好む物なり。死は惡む物なり。好む物は樂なり、惡む物は哀なり。哀樂失はざれば、乃ち能く天地の性に協ふ。是を以って長久なり」と。簡子曰く、「甚だしいかな禮の大なるや」と。對へて曰く、「禮は上下の紀、天地の經緯なり、民の生くる所以なり。是を以って先王之を尚ぶ。故に人の能く自ら曲直して以って禮に赴く者、之を成人と謂ふ。大なること亦た宜ならずや」と。簡子曰く、「鞅や、請ふ身を終ふるまで此の言を守らん」と。

現代語訳

婚姻や姻戚の関係を定めて、天の明るさ(星々の配置)にかたどります。政務・労役・職務を定めて四季の移り変わりに従わせます。刑罰や獄を定めて民に畏れ慎ませ、雷や稲妻が万物を撃ち殺すさまになぞらえます。温和・慈愛・恩恵・和合の徳を定めて、天が万物を生み育てるさまにならいます。民には好み・憎しみ・喜び・怒り・悲しみ・楽しみがあり、これは六つの気から生じます。だからよく見極めて、それぞれにふさわしいものに当てはめ、六つの感情を制御するのです。悲しみには泣くことがあり、楽しみには歌い舞うことがあり、喜びには施し与えることがあり、怒りには戦い争うことがあります。喜びは好むことから生じ、怒りは憎むことから生じます。だから行いをよく見極め、命令を確かなものとし、禍と福、賞と罰によって、生と死を制するのです。生は人が好むものであり、死は人が憎むものです。好むものは楽しみであり、憎むものは悲しみです。悲しみと楽しみが節度を失わなければ、天地の本性に調和することができます。だからこそ長く久しく保てるのです』と」。簡子は言った。「なんと礼の大きなことよ」。子大叔は答えた。「礼は上下の秩序の綱であり、天地の縦糸と横糸であり、民が生きていくよりどころです。だから先王はこれを尊んだのです。それゆえ、自ら曲げたり正したりして礼に向かうことのできる人を、成人(一人前の人)というのです。礼が大きいのも当然ではありませんか」。簡子は言った。「私(鞅)は、生涯この言葉を守らせていただきます」。

解説

前句に続く子大叔の礼論の後半である。婚姻は天の星の配置に、政務は四季に、刑罰は雷の撃つさまに、慈愛は天が万物を育てるさまにかたどる、と人の世の制度をすべて天地の働きに対応させていく。要になるのは感情の扱いで、人の好悪喜怒哀楽は六気から生じるものであり、礼はそれを否定するのではなく、泣く、歌い舞う、施す、戦うという適切な表し方を与えて節度を保たせる。「哀楽失わざれば天地の性に協う」とは、感情を殺すのではなく失わないことが長続きの条件だという意味である。最後に子大叔は礼を「上下の紀、天地の経緯」と要約し、自分を曲げたり正したりして礼に向かえる人を「成人」と呼んだ。晋の実力者趙簡子は、生涯この言葉を守ると応じる。規範を外から押しつけられた枠としてではなく、自分で調整していく働きとして捉える見方がここにある。

この章句が説くこと

礼感情節度成人秩序

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