晏子春秋 / 諫下・景公為台成又欲為鐘晏子諫/景公為泰呂成將以燕饗晏子諫
景公為台,台成,又欲為鐘。晏子諫曰:「君國者不樂民之哀,君不勝欲,既築台矣,今復為鐘,是重斂於民,民必哀矣。夫斂民之哀,而以為樂,不祥,非所以君國者。」公乃止。景公為泰呂成,謂晏子曰:「吾欲與夫子燕。」對曰:「未祀先君而以燕,非禮也。」公曰:「何以禮為?」對曰:「夫禮者,民之紀,紀亂則民失,亂紀失民,危道也。」公曰:「善。」乃以祀焉。
新字:景公為台,台成,又欲為鐘。晏子諫曰:「君国者不楽民之哀,君不勝欲,既築台矣,今復為鐘,是重斂於民,民必哀矣。夫斂民之哀,而以為楽,不祥,非所以君国者。」公乃止。景公為泰呂成,謂晏子曰:「吾欲与夫子燕。」対曰:「未祀先君而以燕,非礼也。」公曰:「何以礼為?」対曰:「夫礼者,民之紀,紀乱則民失,乱紀失民,危道也。」公曰:「善。」乃以祀焉。
書き下し
景公台を為り、台成りて、又鐘を為らんと欲す。晏子諫めて曰く、「国に君たる者は民の哀しみを楽しまず。君欲に勝えず、既に台を築けり、今復た鐘を為るは、是れ民に重斂するなり、民必ず哀しまん。夫れ民の哀しみを斂めて以て楽しみと為すは、不祥にして、国に君たる所以に非ざるなり」と。公乃ち止む。景公泰呂成り、晏子に謂いて曰く、「吾夫子と燕せんと欲す」と。対えて曰く、「未だ先君を祀らずして以て燕するは、礼に非ざるなり」と。公曰く、「何ぞ礼を以て為さん」と。対えて曰く、「夫れ礼は、民の紀なり、紀乱るれば則ち民失う、紀を乱し民を失うは、危うき道なり」と。公曰く、「善し」と。乃ち以て祀る。
現代語訳
景公は台を造り、台が完成すると、今度は鐘を作ろうとしました。晏子は諫めました。「国を治める者は、民の悲しみの上に楽しみを置きません。殿は欲に勝てず、すでに台を築かれました。今また鐘を作れば、民から重く取り立てることになり、民は必ず悲しむでしょう。民の悲しみを集めて楽しみにするのは不吉で、国を治めるやり方ではありません。」公はやめました。また、景公は泰呂の鐘が出来上がると、晏子に言いました。「あなたと宴を開きたい。」晏子は答えました。「まだ先君を祭らないうちに宴をするのは、礼に外れます。」公が「礼などどうでもよい」と言うと、晏子は言いました。「礼とは民のよりどころです。そのよりどころが乱れれば民は失われます。よりどころを乱して民を失うのは、危うい道です。」公は「その通りだ」と言い、先に祭りを行いました。
解説
この章句が説くこと
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『講孟余話』滕文公上 第二章然れば後世の士君子、宜しく外は習俗に従ひ、内は心制を持するあるのみ。近世儒先往々是れを行ふ、実に歆仰すべきことなり。吾が知る所、江戸の人斎藤弥九郎の如き、母を喪してより三年、未だ嘗て酒肉を御せず。蓋し其の師水府藤田氏の教を奉ずるなり。先師山鹿素行先生、甚だ名を立て俗を駭かすことを悪む。其の父の喪を操る、五十日にして酒肉を御す。蓋し母氏の心を慰めん為に曲げて習俗に従ふなり。然れども百日に至るまで酒肉を御すること僅かに三度のみ。而して皆已むを得ざるに迫るなり。余深く其の操持に服す。
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『山鹿語類』士道・惣論禮用之威儀大丈夫として礼容を不知、唯剛強を専とせんは、甚鄙劣にしてまことに北方の勇士と可云也。大丈夫は勇武剛操を本とすといへども、礼容を放埓にいたし情欲に従はゞ、文武の器識あるべからず。文武の器識あらずんば、唯伎倆を本とするがゆゑに、彼の真勇如何してか可得や。すべて礼は人の本にして、人倫の交際器物の制皆礼を不出。礼こゝに違ふときは、節こゝに失す。節あらざれば動静云為皆過不及に陥り、天理の宜に不可合。古の聖人礼を重んじて品々の制法をたて、人の悪に陥らざるを戒とす。故に大丈夫の事物における、毋不敬を以て心にあてゝ、一生の品節を礼用に合せ、其究理を具さにせば、初めて威儀の則りにあたるべき也。
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言志四録・言志録 第六十八条 礼の妙用情に循ひて情を制し、欲を達して欲を遏む。是れ礼の妙用なり。
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