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尉繚子 / 重刑令

將自千人以上,有戰而北,守而降,離地逃衆,命曰國賊。身戮家殘,去其籍,發其墳墓,暴其骨于市,男女公于官。自百人以上,有戰而北,守而降,離地逃衆,命曰軍賊。身死家殘,男女公于官。使民内畏重刑,則外輕敵。故先王明制度於前,重威刑於後。刑重則内畏,内畏則外堅矣。

新字:将自千人以上,有戦而北,守而降,離地逃衆,命曰国賊。身戮家残,去其籍,発其墳墓,暴其骨于市,男女公于官。自百人以上,有戦而北,守而降,離地逃衆,命曰軍賊。身死家残,男女公于官。使民内畏重刑,則外軽敵。故先王明制度於前,重威刑於後。刑重則内畏,内畏則外堅矣。

書き下し

将千人より以上、戦ひて北げ、守りて降り、地を離れ衆を逃るる有れば、命じて国賊と曰ふ。身は戮せられ家は残はれ、其の籍を去り、其の墳墓を発き、其の骨を市に暴し、男女は官に公にす。百人より以上、戦ひて北げ、守りて降り、地を離れ衆を逃るる有れば、命じて軍賊と曰ふ。身は死し家は残はれ、男女は官に公にす。民をして内に重刑を畏れしむれば、則ち外に敵を軽んず。故に先王は制度を前に明らかにし、威刑を後に重くす。刑重ければ則ち内に畏れ、内に畏るれば則ち外に堅し。

現代語訳

千人以上を率いる将で、戦って逃げ、守って降伏し、持ち場を離れて兵を捨てて逃げた者は、国賊と名づける。本人は死刑に処し家は取りつぶし、籍を除き、墓をあばき、その骨を市場にさらし、家の男女は官に没収して奴婢とする。百人以上を率いる者で、戦って逃げ、守って降伏し、持ち場を離れて兵を捨てて逃げた者は、軍賊と名づける。本人は死刑、家は取りつぶし、家の男女は官に没収する。民に内では重い刑を恐れさせれば、外では敵を軽んじるようになる。だから先王は、まず制度を明らかにし、その後に威力ある刑を重くした。刑が重ければ内で恐れ、内で恐れれば外に対して堅くなるのである。

解説

重刑令は、敗走・降伏・逃亡をした指揮官への刑を定めた軍法の条文である。千人以上の将なら「国賊」として本人を殺し家を断ち、墓をあばいて骨を市にさらし、家族を官の奴婢とする。百人以上なら「軍賊」とする。極めて苛烈だが、尉繚の狙いは、兵が敵より自国の刑を恐れるようにして、外への恐れを消すことにある。これは本書に通じる法家的な賞罰観で、連坐や重刑で軍紀を支えた戦国の現実を映している。ただし「制度を前に明らかにし、刑を後に重くする」とあるように、ルールを先に示すことが前提である。現代の組織でこの苛烈さをまねるべきではないが、責任の重い立場ほど重い責任を負うこと、罰の前にまず基準を明示することは、今も変わらぬ統率の原則と言える。

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