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玉勝間 / 十四の巻 饌

饌をつくりととのふるを、俗に料理と云ひ、それよりうつりて、そのつくりととのへたる饌をさしても、料理と云ひ、御料理を下さる、結構なる料理など云ふ、みな饌を云へり。

書き下し

饌をつくりととのうるを、俗に料理と云い、それよりうつりて、そのつくりととのえたる饌をさしても、料理と云い、御料理を下さる、結構なる料理など云う、みな饌を云えり。

現代語訳

食膳の品を作り整えることを、世間では「料理」と言い、そこから移って、その作り整えた食膳の品を指しても「料理」と言い、「お料理をくださる」「結構な料理」などと言うのは、みな食膳の品を言っているのである。

解説

「料理」という言葉の意味の移り変わりを述べた短い段である。「料理」はもともと、物事をはかりととのえる、処理するという意味の漢語で、そこから食べ物を作りととのえることを言うようになった。宣長は、当時の俗語では、作る行為だけでなく、出来上がった食べ物そのものまで「料理」と呼び、「御料理を下さる」「結構なる料理」と言うようになっていると指摘する。行為を表す言葉が、その結果として生まれた物を指すようになるのは、言葉の意味の変化によくある型である。今では「料理」が食べ物を指すのは当たり前で、その意味の広がりに気づく人は少ない。当たり前に使っている言葉の意味が、実は少しずつ移り変わってきたものであることに気づかされる。

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