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玉勝間 / 十四の巻 神に祈して皇子を求め給ひし御事

同紀、繼躰天皇ノ御卷に、大伴金村大連奏請曰、云云、請立手白香皇女、納爲皇后。遺神祇伯等、敬祭神祇、求天皇息、允答民望、天皇日可矣と見えたり。いにしへの道かくのごとし。世嗣を求めば、殊に神に請祈すべきなり。

新字:同紀、継体天皇ノ御巻に、大伴金村大連奏請曰、云云、請立手白香皇女、納為皇后。遺神祇伯等、敬祭神祇、求天皇息、允答民望、天皇日可矣と見えたり。いにしへの道かくのごとし。世嗣を求めば、殊に神に請祈すべきなり。

書き下し

同じく紀、継体天皇の御巻に、大伴金村大連奏請して曰く、云云、請う、手白香皇女を立てて、納れて皇后と為したまえ。神祇伯等を遣わして、敬みて神祇を祭り、天皇の息を求めて、允に民の望みに答えたまえ。天皇曰く、可なりと見えたり。いにしえの道かくのごとし。世嗣を求めば、殊に神に請い祈すべきなり。

現代語訳

同じ『日本書紀』の継体天皇の巻に、大伴金村大連が奏上して願い出て言うには、「(中略)どうか手白香皇女を立てて、お迎えして皇后となさいませ。神祇伯らを遣わして、つつしんで天神地祇を祭り、天皇の御子をお求めになって、まことに民の望みにお応えください」。天皇は「よかろう」と仰せになった、と見える。いにしえの道とはこのようなものである。世継ぎを求めるならば、とりわけ神に願い祈るべきである。

解説

継体天皇の即位にあたり、大伴金村が皇后を立て、神々を祭って皇子の誕生を求めよと奏上した記事を抜き出した段である。継体天皇は応神天皇五世の孫として越前から迎えられた天皇で、前代の武烈天皇の姉にあたる手白香皇女を皇后に立てることで皇統をつなぐ意味があった。宣長が注目するのは、世継ぎという国の大事を、人の思案だけで決めずに神に祈って求めている点である。いにしえの道は、書物の上の理屈ではなく、こうした古い記録の中の振る舞いに見えるというのが古学の立場である。自分の力を尽くしたうえで、なお人の及ばぬところを畏れる姿勢は、今も考える価値がある。

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