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玉勝間 / 十二の巻 神郷公郷

同記同年に、神郷公郷と云ふ事見えたり。神郷は神領の郷。公郷も公領の郷なり。

書き下し

同じ記同じ年に、神郷公郷と云う事見えたり。神郷は神領の郷。公郷も公領の郷なり。

現代語訳

同じ記(小右記)の同じ年の条に、「神郷」「公郷」という言葉が見えている。神郷は神社の所領の郷であり、公郷は公領(国衙の領地)の郷である。

解説

平安時代の土地の呼び分けを示す「神郷」「公郷」という語を、小右記から拾った短い段である。神郷は神社の所領に属する郷、公郷は国司が治める公領の郷を指す。律令の仕組みが緩み、荘園や社寺の領地が広がってゆく中で、同じ国の中にも支配の異なる土地が入り交じるようになっていた。その区別が、言葉の上にもはっきり表れている。宣長は伊勢に住み、神宮の神領という特別な土地のあり方を身近に知っていたから、神社が郷を領する古い姿に関心を持ったのだろう。語の意味を簡潔に注するだけの書き付けだが、古記録を読むための基礎知識として、後の読者にも役立つものである。

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