玉勝間 / 十二の巻 客殿
小右記に、參齋院於客殿云云。
新字:小右記に、参斎院於客殿云云。
書き下し
小右記に、斎院に客殿に於て参る云云。
現代語訳
『小右記』に「斎院に客殿において参上した」うんぬんとある。
解説
「客殿」という言葉の古い用例を、平安中期の藤原実資の日記『小右記』から拾った一行の段である。客殿は来客をもてなすための建物で、宣長の時代には寺院の客を迎える建物を指すことが多かった。それが平安時代にすでに、賀茂の斎院の御所の建物の名として使われていたのである。斎院は賀茂神社に奉仕する未婚の皇女で、その御所は一つの小さな宮廷であった。実資はそこに参り、客殿で対面したのだろう。宣長は語の意味を論じず、ただ用例を示すにとどめている。仏教寺院の言葉のように思われている語が、実は宮廷の言葉から来ている場合もある。言葉の出どころを一つずつ確かめるには、こうした拾い書きの積み重ねしかない。
関連する章句
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