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玉勝間 / 十二の巻 檀紙と高檀紙とは別なる事

同書に、御製御懷紙、高檀紙否事云云、御製高檀紙被遊了、中殿御會以前ハ、普通檀紙候歟云云。

新字:同書に、御製御懐紙、高檀紙否事云云、御製高檀紙被遊了、中殿御会以前ハ、普通檀紙候歟云云。

書き下し

同じ書に、御製の御懐紙、高檀紙か否かの事云云、御製は高檀紙に遊ばされ了んぬ、中殿の御会以前は、普通の檀紙に候か云云。

現代語訳

同じ書(園太暦)に「御製の御懐紙は高檀紙か否かのこと……御製は高檀紙にお書きになった。中殿の御会より前は、普通の檀紙でございましょうか」うんぬんとある。

解説

檀紙と高檀紙とは別の紙であることを、同じく『園太暦』の一節で示した抜き書きである。檀紙はもと檀(まゆみ)の樹皮から漉いたと伝える厚手で縮緬のような皺のある上質の紙で、公文書や儀礼に用いられた。その中でも特に大判で上等のものを高檀紙と呼んだ。宮中の歌会で天皇の御製を書く懐紙を高檀紙にするかどうかが問われ、中殿の御会(清涼殿での晴れの歌会)より前は普通の檀紙だったかと記されているから、二つは使い分けられる別物だったことが分かる。宣長は題にその結論だけを掲げ、証拠の一文を添えて済ませている。紙の種類という細かな有職の知識も、場の格式と結びついていたのである。道具や素材の違いが礼の重さを表していた時代の感覚を、この短い記録が伝えている。

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