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玉勝間 / 十一の巻 楽の道の書どもの名

妙音院ノ相國ノ三五要略、北ノ院ノ御室御撰ノ糸管鈔、孝道ノ殘夜抄、孝時ノ三五中錄、宜陽殿ノ竹譜、(大田丸撰)貞保ノ親王ノ南竹譜、博雅ノ卿ノ長竹譜、大神ノ惟季ノ懷中譜、狛ノ光眞〓老尼語、狛ノ近眞敎訓抄、狛ノ朝葛ノ續敎訓抄、豐原、兼秋ノ息每譜、同作豐兼抄、同十三帖譜、祖父幸秋ノ新鳳祕錄、と同書の奧書にしるせり。

新字:妙音院ノ相国ノ三五要略、北ノ院ノ御室御撰ノ糸管鈔、孝道ノ残夜抄、孝時ノ三五中録、宜陽殿ノ竹譜、(大田丸撰)貞保ノ親王ノ南竹譜、博雅ノ卿ノ長竹譜、大神ノ惟季ノ懐中譜、狛ノ光真〓老尼語、狛ノ近真教訓抄、狛ノ朝葛ノ続教訓抄、豊原、兼秋ノ息毎譜、同作豊兼抄、同十三帖譜、祖父幸秋ノ新鳳秘録、と同書の奥書にしるせり。

書き下し

妙音院の相国の三五要略、北の院の御室御撰の糸管鈔、孝道の残夜抄、孝時の三五中録、宜陽殿の竹譜(大田丸撰)、貞保の親王の南竹譜、博雅の卿の長竹譜、大神の惟季の懐中譜、狛の光真〓老尼語、狛の近真教訓抄、狛の朝葛の続教訓抄、豊原兼秋の息毎譜、同じく作る豊兼抄、同じく十三帖譜、祖父幸秋の新鳳秘録、と同書の奥書にしるせり。

現代語訳

妙音院相国(藤原師長)の『三五要録』、北院御室(守覚法親王)ご撰の『糸管抄』、藤原孝道の『残夜抄』、孝時の『三五中録』、宜陽殿の『竹譜』(大田丸の撰)、貞保親王の『南竹譜』、源博雅卿の『長竹譜』、大神惟季の『懐中譜』、狛光真の『〓老尼語』、狛近真の『教訓抄』、狛朝葛の『続教訓抄』、豊原兼秋の『息毎譜』、同じ人の作である『豊兼抄』、同じく『十三帖譜』、祖父幸秋の『新鳳秘録』、と同じ書(『体源抄』)の奥書に記している。

解説

『体源抄』の奥書に挙げられた、雅楽の古い書物の名を書き写した段である。琵琶と箏の譜を集大成した藤原師長の『三五要録』、笛の名手源博雅の『長竹譜』、狛近真の『教訓抄』など、平安から鎌倉・室町にかけての楽書が並ぶ。『教訓抄』は舞楽の由来や作法をまとめた日本最古級の総合的な楽書として今も重んじられている。書名の一覧にすぎないように見えるが、どんな書物があったかを知ることは、学問の手がかりを得ることである。宣長は古典の研究にあたり、つねに参照すべき書目を集めて記録した。失われた書も含めて名を残しておけば、後の人が探す道しるべになる。書物の目録は、知の地図そのものだということを思わせる段である。

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