導師導古典を学びたいすべての人に

玉勝間 / 十一の巻 琴さぎの事

同書に、和琴の事、或人語云、琴佐木は、長さ一寸八分、牛角にて作るなり。雁の胡國にかへる時、麥の葉をくはへて歸り侍るなり、そのこころを模す。

新字:同書に、和琴の事、或人語云、琴佐木は、長さ一寸八分、牛角にて作るなり。雁の胡国にかへる時、麦の葉をくはへて帰り侍るなり、そのこころを模す。

書き下し

同書に、和琴の事、或る人語りて云わく、琴さぎは、長さ一寸八分、牛角にて作るなり。雁の胡国にかえる時、麦の葉をくわえて帰り侍るなり、そのこころを模す。

現代語訳

同じ書に、和琴のことについて、ある人が語って言うには、琴軋(ことさぎ、弾くための爪)は長さ一寸八分で、牛の角で作る。雁が胡の国(北方の国)へ帰る時、麦の葉をくわえて帰るのである。その心をかたどったものである、とある。

解説

和琴を弾く道具「琴軋(ことさぎ)」についての『体源抄』の短い記事である。和琴は指や爪ではなく、細長いへら状の琴軋で絃をかき鳴らして弾く。その長さは一寸八分(約五・五センチ)、牛の角で作るという。北へ帰る雁が麦の葉をくわえて帰る姿をかたどったものだという説明は、道具の形に季節の風物を重ねた、いかにも楽人の家の伝えらしい話である。先に同じ巻で、和琴の六絃は岩戸の前で弓を並べて弾いたことに由来するという説も引かれていた。宣長はこうした細かな故実を丹念に拾い、和琴という日本固有の楽器の姿を確かめようとしている。小さな道具一つにも意匠と物語が込められていたことを伝える記事である。

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る