玉勝間 / 九の巻 鷹のそる
同じ物語木綿しでの卷に、手に据ゑたる鷹をそらしたる云云。
新字:同じ物語木綿しでの巻に、手に据ゑたる鷹をそらしたる云云。
書き下し
同じ物語木綿しでの巻に、手に据えたる鷹をそらしたる云云。
現代語訳
同じ物語(『栄花物語』)の木綿四手の巻に「手に据えていた鷹を逸らした(飛び去らせてしまった)」云々とある。
解説
鷹狩りの言葉「鷹がそる」「鷹をそらす」の古い用例を、『栄花物語』から拾った段である。鷹狩りでは、放った鷹が獲物を追わずに飛び去ってしまうことを「そる」と言い、手元から逃がしてしまうことを「そらす」と言った。今も話題をそらす、目をそらすと言うが、もとは鷹の扱いから来た言い方とも考えられる。鷹狩りは古くから天皇や貴族、のちには武家の間で盛んに行われた狩りで、その用語は多くの言い回しとして日常語に入り込んでいる。宣長は用例を一行示すだけだが、それによって、この言い方が平安時代にはすでにあったことを確かにしている。言葉の年代を定める小さな一歩である。
関連する章句
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